プログラムレポート
【ま・あ・る11周年特別講座】Yostar Pictures アニメワークショップキャラバン~2024 SPRING in SHIZUOKA~ 講座の様子(2024年3月31日開催)
公開日:2024年04月08日
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しごと・ものづくり講座
3月31日は、株式会社Yostar Picturesの齋藤緋沙子先生、秋山訓子先生、中武学先生にご協力いただき、アニメワークショップを開催しました。
今回は、ま・あ・る開館11周年特別講座として、『動画・アニメ制作体験』と『背景美術体験』の2講座を開催しました。
はじめに、先生方の紹介です。
『背景美術体験』の講師を担当した齋藤緋沙子先生は、『鹿の王』、『鬼滅の刃 無限列車編』、『天気の子』、『すずめの戸締り』、『アークナイツアニメPV』などの美術や背景を担当しています。
『動画・アニメ制作体験』の講師を担当した中武学先生は、『アオアシ』、『シン・エヴァンゲリオン』、『戦隊大失格』、『借りぐらしのアリエッティ』など、原画や作画監督、キャラクターデザインなどを担当しています。
『動画・アニメ制作体験』の講師を担当した秋山訓子先生は、『竜とそばかすの姫』、『映画大好きポンポさん』、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』、『アークナイツアニメPV』などの動画・動画検査を担当しています。
有名作品を手掛ける3名の先生方にお越しいただきました。
そして、マネージメントユニットプロデューサーの石田貴久先生から、アニメーション会社のお仕事についてお話をしていただきました。
アニメーション制作現場では複数の担当があり、一つのアニメーションを作るのにたくさんの人の力が集結して完成するのだということが理解できました。
オープニングセレモニー後、参加者はそれぞれの会場に分かれて体験をしました。
【アニメーターに挑戦!一部:動画制作体験】
秋山訓子先生に指導していただきます。
Clip studio paintというソフトを使って、原画のトレスに挑戦します。
操作方法を説明していただき、好きな原画を一枚選んでもらいます。
原画の線をもとに動きのある線をつけていきます。
皆さん、とても集中して作業を進めます。
細かな線は画像を拡大して描いたり、逆に、線がなだらかで絵が大きな場合は縮小したりと工夫しながら描き進めていきます。
途中、秋山先生からみんなにアドバイスです。
「立体感を出すために原画の線を『なぞる』のではなく、線の方向を意識して『描く』を意識してみよう!」と教えていただきました。
プロの皆さんは、原画家の思いや特徴をいち早く捉え、それらを意識しながらトレスを行うようです。
髪の毛をトレスする場合は、生え際や髪の毛のクセ・流れなども意識するのだそうです。
すごいですね。
トレスが完成した方はトレス線抜けがないかを秋山先生に確認していただきます。
細かな作品になればなるほど大変ですね。
2時間弱の体験でしたが、最後まで手を止めず、細部にまでこだわりながら作品を仕上げてくれました。
【アニメーターに挑戦!二部:アニメーション制作体験】
二部では、Animation Deskというソフトを使ってオリジナルの絵を用いた「短編動画」を作ります。
中武学先生に指導していただきます。
アニメを作るときの作業には「原画」と「動画」という2つの絵を描く作業があります。
「原画」は動きのキーになる部分を描き、「動画」はその間の動きを描いていきます。
アニメーション全体のポイントとなる部分を描く「原画」に対し、アニメーションに動きを持たせるよう原画と原画の間に「中割り」を描くという作業があります。
例えば、まばたきや手を振る動作など、より自然で滑らかに見せるために絵と絵の間隔を調整し「中割り」を描きます。
中武先生が実演を交えながら詳細に説明をしてくれました。
とても分かりやすいですね。
みんなも早速作ってみます。
メインとなるキャラクターやモノを描いて、動作に合わせた絵を何枚も描いていきます。
画を描いては繋げ、確認する作業を繰り返し、よりスムーズな動きを目指します。
中武先生にアドバイスをもらいながら、自分の作品を創ります。
2時間弱という限られた時間で、皆さん思い思いの作品を完成させることができました。
代表者に作品を発表してもらいましたよ。
ユニークな作品ばかりです。
最後に、中武先生から「人の作品を観ることはとても大切!とても勉強になるよ!」とアドバイスをいただき「皆さんの作品はどれも素晴らしいです。アニメーターを目指す方、それ以外の夢を目指す方がいると思います。これからも自分がやりたいなと思うことに果敢にチャレンジしてほしいと思います!自分の好きや得意を仕事にすることが出来たら道はどんどん開けるはずですよ。」と教えていただきました。
4時間30分の貴重な体験、ありがとうございました。
【アニメの背景に挑戦!】
齋藤緋沙子先生に指導していただきます。
まずは、背景美術について教えていただきます。
背景を描くときは絵の知識だけでなく、描こうとするものに関する知識も必要だということを教えていただきました。
アニメーションの制作過程では多くの部分でデジタル化が進んでいますが、背景美術は作業内容に合わせてアナログとデジタルを使い分けて作業を行うこともあるそうです。
早速みんなも背景画に挑戦します。
最初に2色グラデーション画を描く体験から始めます。
紙を水を使って板に張る「水張り」という作業を行います。
次に、先生が実際にお仕事で行っている工程に沿って描いていきます。
まずは、白を塗ってから青を塗り、乾いた刷毛で白と青を馴染ませて綺麗なグラデーションに仕上げていきます。
綺麗なグラデーションで描くことが出来ました。枚数を重ねるごとにきれいなグラデーションになっています。
次に「空・芝生・その間に挟まれた空の明るい部分」の3色グラデーション画を描く体験です。
2色のグラデーションと同様に明るい色から塗り始めると上手に塗ることができます。
1色加わっただけでかなり難易度がアップします。
紙の下に敷いた木の板が適度に水分を含んでくれるのでグラデーションをつける時の手助けをしてくれます。
紙が少し乾いてしまったら木の板をぬらします。すると、紙がその水分を吸って、適度な水分が保たれるので再度グラデーションをつけやすくなります。
描きあがった背景画とキャラクターを合わせて、クリアファイルに入れたら完成です。
皆さん素敵な背景画を描き上げました。
齋藤先生、貴重な体験をありがとうございました。
プロの方々から直接ご指導いただける機会はとても重要です。
今回の参加者の中からアニメーション業界を引っ張ってくれる方が誕生するかもしれませんね。
株式会社Yostar Picturesの皆様、ありがとうございました。