プログラムレポート
日立清水理科クラブ講座 講座の様子(2022年12月10日開催)
公開日:2022年12月16日
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しごと・ものづくり講座
12月10日は日立清水理科クラブの皆様にご協力いただき、2極コイルモーターの仕組みを学ぶ講座を開催しました。
日立清水理科クラブは、日立製作所グループのOBの皆様により設立された団体です。
モノづくり教室の開催や、小学校の理科授業支援など、自然の神秘や不思議さに目を見張る感性を持った、理科好きの子供を育てる活動をされています。
今日は「電磁石ベル」を作ります。
モノづくりを始める前に、「電磁石ベル」がどんな仕組みで動いているのか、保刈先生にお話ししていただきました。
キーワードは「電磁石」「弾性力」「逆起電力」です。
電磁石ベルの仕組み
最初に保刈先生が、今日作る「電磁石ベル」を鳴らして見せてくれました。
仕組みはこんな感じです。
「電磁石ベル」というだけあって、仕組みの中には「電磁石」が入っています。
電磁石は芯に導線をたくさん巻いた「コイル」で作られています。
導線に電流を流すことで、コイルに磁界が発生して、磁石と同じ力が生まれます。
電流の向きと磁界の向きは右手を使うと確認できます。
反対向きに電流を流すと磁界の向きも反対になるというのも電磁石の特徴ですね。
皆さんが普段目にしている「永久磁石」と比べると、色々な違いがあります。
永久磁石は、磁石の素材と作る方法で磁力が永久に決まってしまいます。
電磁石は、導線を巻く回数や流す電流の強さを変えることで、磁力を変えることが出来ます。
こんな電磁石は、モーターや発電機など皆さんの身の回りの色々なところで活躍しています。
電磁石ベルではハンマーを引き寄せるために電磁石を使います。
ベルを叩くハンマーには金属が使われています。
ハンマーはベルを叩くときに、勢いで形が変わりますが、「弾性力」があるので元の形に戻ろうとします。
ハンマーが「板ばね」のようになっているわけです。
定規を机の端っこで弾くとビョーンとなるのもこの「弾性力」の力ですね。
電磁石ベルにつけられたLEDは音が鳴るたびにピカピカと光ります。
LEDがどうやって光っているかも、簡単に説明してくれました。
半導体に電気を流した時に、プラスの電子とマイナスの電子がぶつかり合って光るそうです。
小さな雷を作っているようなものだと先生が教えてくれました。
1つの赤いLEDをつけるのには約2Vの電気の力が必要です。
乾電池は1.5Vの電気の力なので、乾電池1本ではLEDは点きません。
ところが、今回は3つのLEDを1.5Vの乾電池2本、3Vで点けようというわけです。
ここで登場するのが「逆起電力」です。
「逆起電力」とは電流をストップするときに発生する、逆向きの電気の力のことです。
グラフのように、瞬間的に大きな電気の力が発生するので、1.5Vの乾電池2本でも十分にLEDを光らせる力が得られるというわけです。
今回作る電磁力ベルの仕組みをまとめてみました。
- 手元のスイッチを押すと、電流が流れて電磁石がハンマーを引き寄せます。
- 引き寄せられたハンマーがベルを叩き音を出します。この時、ハンマーの根元側が調整ねじから離れることで電流がストップします。
- 電流がストップすると、逆起電力によってLEDが光ります。また、弾性力によってハンマーは元の場所に戻ります。
- ハンマーが元の場所に戻ると調整ねじとつながるので、また電流が流れます。
1から4の繰り返しで、回路のオンオフが連続して発生します。
これによって、スイッチを押している間ハンマーはベルを叩いたり、戻ったりを繰り返すというわけですね。
回路のオフのタイミングで大きな電気の力が起きてLEDが光るので、LEDも点滅をし続けます。
作ってみよう!
保刈先生のお話を聞いて、電磁石ベルの仕組みが分かったら早速作っていきましょう!
日立理科クラブからたくさん先生が来てくれました。
まずは、電磁石に大切なコイルを作ります。
今回は鉄のボルトに導線を巻いていきます。
しっかりときれいに巻くことが発生する磁力にも関係してくるので、慎重に巻きます。
大体200巻きくらいしました。
もう少しで巻き終わるよ!頑張って!
コイルが出来たら、導線の両端のエナメルを紙やすりではがします。
エナメルをはがした導線の先はピカピカになっていましたね!
これで電気がしっかり通るようになります。
次に、木の土台にパーツをつけていきます。
事前に印がつけてあるところに、L字の金具を取り付けます。
ドライバーの上手な使い方も先生が教えてくれました。
L字の金具を取り付けたら、コイルやハンマーを取り付けていきます。
ハンマーは片方にベルを叩くボルトとナットがついていて、真ん中に電磁石に吸い寄せられるボルトとナットがついています。
叩く側と逆の端は、土台の金具に固定します。
コイルの正面にハンマーの真ん中につけたボルトとナットが来るか確認しましょう。
かなり完成が近づいてきました。
ハンマーの調節ねじはあとで調節します。
LEDを回路の中につなげます。
富士山の形のパーツを両面テープで張り付けて、LEDを取り付けます。
なんでもホールの色々なところから、ベルの音が鳴り始めました。
調節ねじの長さを変えることで、ハンマーが回路とつながるタイミングを変えることが出来るので、ベルを叩く間隔を変えることが出来ます。
最後にみんなで鳴らしながら集合写真を撮りました。
またの開催をお楽しみに!