プログラムレポート
興津螺旋へ行こう! 館外講座の様子(2022年7月26日開催)
公開日:2022年08月06日
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しごと・ものづくり講座
7月26日は、興津螺旋株式会社様のご協力で興津螺旋様の工場を見学させていただきました。
始めに、興津螺旋株式会社代表取締役社長の柿澤先生から「興津螺旋ってどういう会社なの?」というお話をしていただきました。
興津螺旋株式会社はねじを作っている会社です。
一口にねじと言っても、ステンレスやチタン、プラスチックなど用途に合わせて色々なねじを作っています。
ステンレスのねじは、水に強いのでソーラーパネルやキッチン、トイレ周りなどに使われています。
磁力の影響も受けにくいので、ハードディスクドライブを作る時にもステンレスのねじは使われています。
とても丈夫なチタン合金ボルトは、スノーボードや競技用自転車などスポーツの分野で沢山の信頼を得て、使用されているそうです。
展示してある自転車にも、色々なところに陽極酸化処理で色付けされたボルト(ねじ)が使われていますね!
そして、興津螺旋がねじを作る上で大切にしていることも話してくださいました。
皆さん、一生懸命聞いていましたよ。
ところで、ねじはどうやって作られているのでしょうか?
ねじは大きく分けて2つの工程で作られています。
1つ目は「圧造」です。金属の線をカットして、金型に強く押し付けることでねじの頭の部分を作ります。
2つ目は「転造」です。ねじ山の形がついた金型で「溝のついていないねじ(リベット)」を挟んで、金型の間を転がすことでリベットにねじ山を作ります。
では、実際に工場に行って、機械が動いている様子を見てみましょう!
第1工場ではねじを作っています。
まずはねじの頭の部分を作る圧造加工です。
工場の中には色々な太さの鋼線があります。
表面に処理をしてある鋼線は、見た目が少し違いますね。
作るねじに合せて、必要な長さにカットして、機械で金型を押し付けてねじの頭の部分を作ります。
実際に機械が動いているところを間近で見せてもらいました。
機械の中では常にオイルが流れていて、ねじの頭の形をつける金型でどんどんとリベットが作られていました。
ねじの頭を作る金型と、出来上がったリベットです。
実は、ねじの頭を作る工程から、ねじの検品が始まっています。
ねじを作りながら、常に検品をすることで、良いねじが間違いなく作られるようになっています。
圧造の機械で作られたリベットは、転造の機械に持っていきます。
ここで、リベットを整列させて、ねじ山の形がついた金型に挟んで転がして、ねじ山をつけます。
まず、リベットを1本1本整列させます。
そして、転造機の金型のほうに送られて行きます。
金型に挟まれて、転がすとリベットにねじ山が作られました!
機械によってどんどんとねじが作られていましたね。
転造用の金型をよく見ると、斜めの溝がたくさん入っていましたよ。
興津螺旋の工場で動いている機械は、古いものだと60年近く使っているものもあります。
古い機械でしか作れないねじもあるので、半年に1回きちんと点検・修理をして大事に使っているそうです。
工場の色んな所に大きな扇風機があるのを発見しました!
大きな扇風機以外にも工場で働く人一人一人に扇風機があって、夏場はそれをそれぞれの人ごとに扇風機を使っているそうです。
興津螺旋では、ハードディスクドライブに使うような直径0.8mmの小さなねじも作っています。
小さなねじには専用の機械があります。
実際にそこで作られる小さなねじを見せてもらいました。虫眼鏡で見ても、まだまだ小さいねじです。
ねじが出来上がったら、第2工場に向かいます!
出来上がったネジは第2工場の洗浄機に送られ、そこで汚れを落とします。
ねじの入った箱を機械で持ち上げて、洗浄機の中に入れます。
酸に浸けたり、アルカリに浸けたり、色々な工程を経てピカピカのねじが出来上がります。
ねじを作りながら、不良のねじないか検品をしていますが、箱に入れる前に最後の検品をします。
「ストラパック」という箱を作る機械も、工場の中にありました。
ピカピカになったねじは、箱に詰めて、倉庫にしまいます。
箱に入れられたねじは、ケースに入れられて、大きな機械によって運ばれていきます。
保管のための倉庫は4~5階建ての建物くらいの高さになっているそうです。
覗き込んでも天井が全然見えません。
この倉庫の中に、いつでも出荷できるようにねじがたくさん入っているんですね。
ここでも、機械を使ってねじの入った箱を上げ下ろししています。
ひとつの箱でも20キログラムぐらいの重さがあって、何度も上げ下ろしするのは大変です。
そこで、興津螺旋では「バランサー」という機械を使って、重たい箱を軽々と上げ下ろしできるようにしています。
たくさんのねじが入っていて、すごく重たい箱を持たせてもらいました。
なかなか持ち上がりません。
「バランサー」を使えば軽々と運べます。
工場見学の最後に特別な機械を使って、純チタンのねじを作らせてもらいました!
この機械は、手作業でねじを作る体験をするために特別に作られたものです。
ハンドルを回すと、金型に挟まれたリベットがクルクルと転がって、ねじ山を転造出来るようになっています。
チタンのねじにねじ山をつけるのにはとても力がいりました。
親子で力を合わせて、ハンドルを力いっぱい回します!
金型に挟まれているリベットの頭が見えますか?
大人参加者の皆さんも、一生懸命ハンドルを回しました。
今度は、出来上がったねじの表面に陽極酸化処理をして色を付けます。
液体の中にねじを入れて、ねじに電気を通すと、ねじの表面に酸化皮膜が出来て色がつくそうです。
最後に、ねじの頭にレーザー加工で好きな文字を入れてもらいました。
これで世界でたった一つの純チタンねじの完成です!
工場見学の後は、参加者の皆さんから先生への質問タイムです。
「興津螺旋のマークはどうして蟹なんですか?」
「どうして興津螺旋という名前なんですか?」
など、皆さん意欲的に質問をしていました。
先生も、一生懸命質問に答えてくれました!
そして、「螺旋」とは回転しながら上昇する形のことを言います。
ねじは漢字で書くと「螺子」と書くんですね。
大人も知らないことを見学出来て、とっても楽しい工場見学講座になりました。
またの開催をお楽しみに!