プログラムレポート
木材加工に挑戦! 講座の様子(2022年3月20日開催)
公開日:2022年03月24日
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しごと・ものづくり講座
3月20日は杣プロジェクトの坪井建憲先生と安池林業の安池勘司先生にご協力いただいて、「木材加工に挑戦!」講座を開催しました。
「杣」って何?
「木」と「山」。
小学生の参加者の皆さんもよく知っている2つの漢字ですが、この2つが合わさった「杣」という漢字は何と読むのでしょうか。
答えは「そま」です。
杣とは木を植え付けて育て、材木をとる山。「杣木・そまぎ」「杣山・そまやま」の略だそうです。
そして、林業に携わる人のことを「杣人(そまびと)」と呼ぶそうです。
杣プロジェクトでは、少し広く解釈をして林業に携わる人だけでなく、その木を使う人つまり、杣木を使って生活する人のことまでを「杣人」として考えています。
人と自然がもっと近くて良い関係を築けるように、杣プロジェクトは活動しています。
林業士の仕事
安池先生から林業士のお話をしてもらいました。
安池先生は今日のために、仕事の時と同じ格好をして来てくれました!
ケガをしないための丈夫な長袖、長ズボン。しっかりとヘルメットもかぶっていますね。
林業士とは、ただ木を伐るだけでなく、木のお父さんお母さんになって、木を植えて、真っすぐのびのびと育つように木を守り、山を守るお仕事です。
植林をして、木が育ちやすい環境を整えて、4~50年育った木を間伐をしながら、残った木がもっと大きく育つように環境を整えます。
間伐した木は住宅や家具など色々な身のまわりのことに使われます。
残った木はもっと大きく伸び伸びと育って、光合成をして二酸化炭素を吸って酸素を出します。
実際に山で木を倒しているところも見せてもらいました。
安池先生が仕事をしているところは、「ま・あ・る」から車で1時間半くらい車で行った山の中にあります。
山の中の道は安池先生が作ったそうです!
よく見ると道の右側と左側で明るさが違います。
右側は間伐をしてあるところ、左側はまだ間伐をしていないところだそうです。
木を伐る時にも技術が必要です。
木を伐る時に使うチェーンソーには本体に回り込むようにグリップが付いています。
このグリップが付いていることで、チェーンソーを持つときの角度を水平にしたり、垂直にしたり、好きな角度にすることが出来るそうです。
水平に伐る時。
45度の角度をつけて伐る時。
チェーンソーを自由自在に扱い、木を伐ることが出来れば、傷つけることなく木を伐り倒すことが出来ます。
木と木の間にきれいに木を倒すことが出来ました!凄いですね!
伐り倒した木は、その場でプロセッサー(造材機)という機械で、長さを測りながら切ります。
チェーンソーがついているアームで倒した木をつかみ、枝を払いながら長さを測って切ります。
長さを測って切った木は、クローラートラックに乗せて運びます。
クローラートラックは急な山道でもグイグイ進むことが出来るトラックです。
道路を走るトラックとは、タイヤが違いますね。
製材所の仕事
トラックで製材所に丸太を運び、形を整えます。
製材所には製材のプロフェッショナルの人がいます。
どこを切ればきれいな木材になるかを見極めて、機械に乗せて加工します。
4メートルの木を動く台の上に乗せて、動いているのこぎりに向かって丸太を動かします。
手前に4メートル、真ん中にのこぎりがあって、奥にも4メートル広さが必要ですから、製材所がとても広いことが分かりますね。
製材所の機械には色々なコントローラーが付いていて、精密な寸法で木材を切ることが出来るようになっています。
そうして色々な人が関わりながら加工された木材が、今回作るmoocle(モークル)にも使われています。
事前に配られていた袋の中から材料を出してみましょう。
画面に出ている写真と、手元の材料を比べてみます。
あれ?おかしいな。立方体のパーツが足りなくて、タイヤ2つに穴が開いてないぞ。
そうです!
今回の「木材加工に挑戦!」講座では、足りないパーツを作ったり、ボール盤を使ってタイヤの中心にくぎを打つための穴を開けたりします!
木を真っすぐ切ろう!
早速、角材に切る時のガイドになる線を引いてみましょう。
きちんと直角に線が引けるように、「指矩(さしがね)」という道具を使います。「矩(かね)」とは大工さんの言葉で「直角」のことだそうです。
安池先生に使い方を教えてもらいました!ばっちり直角の線が引けましたね。
印をつけたところは、のこぎりを使って切りました。
バイス(万力)を使ってしっかりと動かないように角材を固定して、両手でのこぎりを持って切ります。
のこぎりの使い方も安池先生が教えてくれました!
切ったパーツはちゃんとやすり掛けもしましたよ。
タイヤの真ん中に穴を開けよう!
タイヤには、ボール盤という道具を使って穴を開けます。
あらかじめ、坪井先生が「治具(じぐ)」という木の板をセットしていてくれました。
「治具」は同じところを同じように加工するために使う、加工のガイドのようなものです。
奥にあるでっぱりに、タイヤを当ててドリルを下ろせば、タイヤの中心に穴が開くようになっています。
ドリルと聞くとちょっと怖いかもしれませんが、安全に使えば大丈夫です。
坪井先生と一緒に穴を開けてみました。
最初はちょっと怖かったけど、頑張って穴を開けました!
moocleを組み立てよう!
全てのパーツがそろったら、moocleを組み立てます。
本体に先ほど穴を開けたタイヤを取り付けます。
釘を使って、金槌で付けました。
タイヤには少し窪みが出来るように穴を開けたので、釘を最後まで打ち込んでも外に出っ張らず、きれいに釘の頭が収まりました。
2つの台車はフックで繋げます。フックは手でグリグリとねじ込みました。
先頭の台車に先ほど作った四角いパーツや、タンクパーツや煙突をボンドでつけたら完成です!
皆さん個性的なmoocleが出来ましたね!
今回使った木材、杉(すぎ)と桧(ひのき)の観察もしました。
どっちが杉で、どっちが桧か分かりますか?
杉と桧を比べると、桧のほうが硬いので、加工がしやすいそうです。
moocleのタイヤの部分は桧で出来ています。
杉は桧と比べると柔らかく、加工がしにくいので角材の形で切り出してmoocleの本体に使われています。
木の特徴をしっかり理解することで、何に使うと良いかも分かってきますね。
坪井先生が葉っぱや実を取って来てくれました。
葉っぱは採れたてで、生きているので瓶や袋の内側に水蒸気がついて曇っていましたね。
今日、moocleを作ったことで、皆さんも立派な「杣人」ですね!
これからも山のこと、木のこと、そして地球のことを大切にしていきましょうね!