プログラムレポート
子どもの成長と遊び 大人向け講座の様子(2021年11月9日開催)
公開日:2021年11月26日
-
ちびっこプログラム
11月9日は「子どもの本とおもちゃ 百町森」の店主、柿田友広先生にお越しいただいて、「子どもの成長と遊び」について講座を開いていただきました。
お子様の月齢に合わせて、どんな遊びが出来るかな?
お子様の成長を促すおもちゃの使い方ってどんなものがあるかな?
こんな時期にはどんな絵本が楽しめるかな?
など、お子様の成長段階に合わせて、大人たちやおもちゃはどんなことが出来るかというお話をしていただきました。
まずは生まれてすぐ、まだ目の焦点も合わせられない頃。
そんな時でも赤ちゃんは全身で世界を感じ取っています。
オルゴールが入っている柔らかいぬいぐるみなどは、その肌触りを感じながら、優しい音色も聞くことができて、初めての世界を体験できますね。
そして、目の焦点がはっきりし始める頃。
何かが目の前にあるぞ・・・と目の前で動くものを追いかけて見る、追視が始まる頃。
寝っ転がったままで、天井からつるされたモビールを目で追いかけて遊びます。
会話ができやすいもの(動物など)がオススメだと教えてくださいました。
サンキャッチャーなどの光が反射している様子などもしっかり目で追いかけて遊びます。
首を持ち上げられるようになると、追視の遊びは首を動かすことにもつながっていきます。
坂を転がっていくおもちゃは色々ありますが、両端が高くなっている行ったり来たりする坂になっていると、ずっと見て遊んでしまいますね。
そしてこれは遊びながら、首を動かす練習にもなっています。
お顔が分かる時期になると、お顔の絵本は人気が出てくるのですが、「最近はマスクをした生活が多いので、色んなお顔の表情が出てくる絵本は是非読み聞かせたい本ですね。」と先生は仰っていました。
目の前に何かあると手を伸ばして掴んでみたくなる時期が来たら、寝ている上からおもちゃをつるしたり、手が届きそうなところにおもちゃを置いたりしてみるのも楽しい遊びになります。
掴んでみたいものが前にあると、手を伸ばして前に進みたい気持ちが芽生え、ずりばいやハイハイにつながっていきます。
また、首が座ってくるとお膝の上でお歌を歌いながらゆっくり揺さぶる遊びなども出来るようになってきますね。
しっかりハイハイが出来るようになったときの、「まてまてまて」というわらべうたも紹介してくださいました。
ハイハイも安定して来ると、後ろから「まてまてまて」と言いながら追いかけるだけで、赤ちゃんはどんどんハイハイして進んでいきます。
この時期は他者の存在もしっかりしてきますから、赤ちゃんと大人の関係だけでなく、赤ちゃんと大人とおもちゃの関係(三項関係)を築くことも出来るようになるころですね。
言葉を話すことはまだ難しくても、意思はしっかり持っているのでそれを汲み取って、しっかりと言葉で伝えるというのも大切なことだそうです。
「擬音がたくさん出てくる絵本」は色々な音を耳にしたり、それを発話しようとする気持ちを引き出してくれたりするので、この時期にお勧めだそうです。
講座の中では、前述した「まてまてまて」以外にも様々なわらべ歌を教えてくださいました。
レミソラシの5音(ペンタトニック)で作られたシロフォンは、どんなつながりで音を叩いても心地よい和音が生まれます。
わらべ歌はこの5音で作られているものがほとんどだそうです。
乳幼児期にこうした歌は遊びも伴っていてオススメだということです。
しっかりお座り出来てくると両手が自由になるので、ティッシュを全部引っ張り出したり、身の回りの物を掴んだりと、指先手先を使えるようになりますが、こうした子どもの行動がおもちゃ選びのヒントになります。
穴の中に布を通すだけで、引っ張り出し遊びのおもちゃのおもちゃの応用です。
子どもたちは、自分の体の発達に合わせて、出来ることが増えてくると、どんどん繰り返してその機能を伸ばしていきます。
柿田先生は、そういった時に登場するおもちゃを「発達を促す」おもちゃではなく、「動作を励ます」おもちゃと表現されていました。
にぎる動作から、つまむ動作になったら、お口に入りにくい大きさのつまむ遊びをしてみるのも楽しいですね。
つまんだものを入れるカップを用意してみたり、カップを振ったら音が鳴ることを発見してみたり、動作の発達に合わせた遊びを用意することで色々な楽しみが出てきます。
細かな動きが少しずつ出来るようになってくると、大人のまねっこをする遊びも始まります。
身近な大人がしていることにも興味が出始める時期なので、「あいさつの出てくる絵本」なども紹介してくださいました。
色や形が分かるようになったら、色分け、形分けの遊びも楽しいですね。
形を作る「構成遊び」が出来なくても、「分ける」ということが遊びになっているそうです。
3歳になれば「構成遊び」をするようになり、絵を描くことや、数学的な認知につながります。
2歳ぐらいから、重さをしっかり感じながら、手先を使ってバランス感覚を養える積み木遊びも2つ紹介してくださいました。
ひとつは「ネフスピール」。
真四角四角の立方体に切れ込みが入ってリボンのようなシルエットになっている積み木です。
もちろんこれも「色分け」遊びに使うことも出来ますが、そのまま積み上げてみたり、45度ずつひねりながら積み上げてみたりと、ひとつの形で色々な積み方が出来る積み木です。
形はひとつなのに、色々な遊び方が発見できる積み木です。
もうひとつは「ハニカム」。
6角形がつながったピースに、虹の色の7色がつけられています。
長さを比べる遊びに使ったり、長さの順番に積んでみたり、色のグラデーションを楽しんだりも出来ます。
上手くバランスを調節すれば、こんな積み方も出来ますよ!
遊びの中でバランス感覚だけでなく、数のことや、色のこと、形のことを身につけることが出来ますね。
実は、乳児の頃の遊びは乳児の頃だけで終わってしまう訳ではなく、幼児の頃の遊びや、もっと先のこととつながっています。
乳児の頃に穴の開いた木のピースを棒にさして遊んでいた遊びは、幼児の頃には紐通し遊びに、刺しゅうや織物にもつながっていきます。
「乳児期の遊びをしっかりすることで、幼児期の遊びにつながり、幼児期に遊んだ経験は、小学校に上がり言葉で伝達する教育が始まっても、しっかり学ぶことができるのです。また、乳幼児期の楽しく遊んだ経験は社会に出てからの支えにもなります。」と先生は最後におっしゃっていました。
柿田先生は「絵本とおもちゃでゆっくり子育て」や「絵本屋さんがおすすめする 絵本100」など、絵本とおもちゃと子育てに関する本を出版されています。
是非参考にしてみてください。