プログラムレポート
フュージング体験! 講座の様子(2021年9月12日開催)
公開日:2021年09月13日
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しごと・ものづくり講座
9月12日は「工房リーフ」の市川さつき先生と岡部潔先生にご協力いただき、ベネチアングラスを使ったフュージング体験講座を開催しました。
今回はベネチアングラスの中でも「ミルフィオリ」という伝統工芸技術で作られたガラスを溶かしてくっつける「フュージング」の体験をしました。
「ミルフィオリ(Millefiori)」とはイタリア語で「千の花」という意味です。
溶けたガラスを金型に入れて何層にも重ねることで、様々な模様を作り、引き伸ばして作るガラス棒です。
出来上がりは金太郎飴のようになっていて、切ると断面に同じ模様が現れます。
このガラス棒を数ミリ単位で切って出来たガラスのパーツを集めて溶かすことで、アクセサリーやビーズやお皿を作ることが出来ます。
今回も、カラフルで色々な模様のミルフィオリを用意していただきました。
ここから、自分だけの作品を作るために、パーツを探して集めます。
まずは先生が用意してくださった台紙に好きなビーズを並べてデザインのイメージを作ります。
色々なビーズが入っているので、お気に入りを探すだけでも大変です。
デザインが出来上がったら、ガラスの板の上に特別な接着剤で固定します。
どんな出来上がりになるでしょうか?楽しみですね。
接着剤で固定をしたら、岡部先生が電気炉の中に入れて温度調節をしてガラスを溶かしてくださいます。
工芸用のガラスは大体700℃くらいで溶けるそうです。
同じ「ミルフィオリ」でも溶ける温度が違うので、岡部先生が時間と温度をしっかり確認しながらガラスを溶かしてくださいました。
溶けて冷まして出来上がるまでのお楽しみです。
作品が炉に入っている間、市川先生や岡部先生が色々なガラスの疑問に答えてくださいました。
ガラスの歴史は紀元前2500年のメソポタミアから始まったそうです。
それから1000年くらいしてからトンボ玉のような加工技術が出来上がり、紀元前1500年頃からエジプトでアクセサリーや瓶に使われ始めました。
日本最古のガラスは縄文時代末期のものが青森県で発見されているそうです。
ガラスの歴史はとても古くからあるんですね。
光を通すきれいなガラスは教会の歴史ともつながりが深く、教会のステンドグラスを作るために様々な色のガラスを作る技術が発展したそうです。
キラキラするものはいつの時代も人気があるんですね。
焼き物につける釉薬も、細かい粘土や灰を水で溶いて焼き物につけて焼くことでガラス質の部分が出来上がり、陶器が水を吸いにくくなるそうです。
他にも窓ガラス、カメラのレンズ、蛍光灯、メガネ、スマートフォンなど、ガラスは色々なところに使われています。
また、この30年くらいでどんどん新しいガラスが開発されていて、UVカットガラスや、強化ガラスや曲がるガラスなど、日々、進化を続けているというお話も岡部先生はしてくださいました。
ガラスがない生活はもう考えられないほど、身近な存在ですね。
そんなお話をしていると電子炉に入れたガラスが溶けてきました。
溶けているところを先生に見せていただきました。
溶けたガラスは表面張力で、表面が丸くなっています。
扉を開けた電子炉の前はとても暑いです。炉の中の温度は820℃もあるそうです。
出来上がったモチーフは、砂の中に入れて冷まします。
急激に冷ますとひびがはいったり、割れてしまったりするそうです。
ゆっくりガラスを冷ますことを「徐冷(じょれい)」といいます。
他にも作品が出来上がる間、ガラスを切るためのカッターを見せていただいたり、昔はどんなところにガラスが使われていたかなどの話も聞かせてくださいました。古いテレビのブラウン管や牛乳瓶など、ガラスは昔からなくてはならない存在でした。
昔も今も電子レンジやオーブントースターののぞき窓はガラスで作られています。
熱に強く、透明で中が見えるという性質がガラスの他にはないからでしょうね。
すっかり話し込んだところで、作品がしっかり冷めました。
冷めた作品は市川先生が、特別な接着剤を使ってしっかりとネックレスや、ストラップ、キーホルダーの金具につけてくださいました。
しっかりくっつくには1日かかるそうです。
ガラスについての色々な話が聞けて、ミルフィオリを使ったフュージングの作品も出来上がりました。
皆さんも、自分の身の回りにどんなガラスがあるか探してみましょう!