プログラムレポート
興津螺旋へ行こう!親子で一緒にねじ工場を見学しよう 館外講座の様子(2021年7月30日開催)
公開日:2021年07月30日
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しごと・ものづくり講座
7月30日は、興津螺旋株式会社様のご協力で興津螺旋様の工場を見学させていただきました。
入り口で消毒と検温をして入ります。
まず、代表の柿澤先生に「興津螺旋ってどういう会社なの?」というお話をしていただきました。
興津螺旋では、ステンレスのねじや、チタンのようなレアメタルを使った強いねじ、プラスチックのねじなども作っています。
ステンレスのねじは錆びに強いので、色々な建物や、自動車、産業機械、ロボットによく使われているそうです。
また、ステンレスのねじは水に強いので、トイレや窓サッシ、太陽光パネルのような水回りや雨の影響を受けるところにもよく使われているそうです。
他にも、ステンレスは磁力の影響を受けないので、パソコンなどのハードディスクなどにも使われています。
本当に色々なところに使われていて、興津螺旋で作っているねじの種類は、なんと1万種類を超えるそうです。
また、興津螺旋ではオリジナルのチタン合金のねじを開発しています。
ステンレスよりも強くて軽いチタン合金のねじは、モータースポーツやマリンスポーツ、自転車競技などにも使われており、オリンピックで使うようなBMXの自転車にも使われているそうです。
興津螺旋では真・善・美を経営信条としています。
これは「ウソのないしごと、よのなかのやくに立つ、きれいなねじをつくる」ということだと、子ども参加者にも分かりやすく説明をしてくださいました。
さて、柿澤様のお話が終わって、次は2チームに分かれて工場見学です。
レシーバーを装着して、出発です!
まずは第1工場からです。
皆さんは、ステンレスのねじがどうやって作られているか知っていますか?
ステンレスのねじは、まず素材のワイヤーを切り、それを「ヘッダー」という機械に送り、「型を使って」ねじの頭の形を作り、溝をつけます。
これを「圧造加工(あつぞうかこう)」と言います。圧造加工をして出来た、ねじ溝の入っていないねじを「リベット」と呼びます。
大体1分間に150本くらいのリベットが作られるそうです。
出来上がったリベットを、今度は「転造機(てんぞうき)」に送ります。
「転造機」では筋の入った金属にリベットを挟んで、転がすことで、リベットにねじの溝をつけます。
「転造機」にセットする金属の型を持たせてもらいました。
二つの金属の型の間にねじを挟んで転がします。
かたい金属ですが削って作るわけではなく、機械の力を使って粘土のように「押し付けたり」「挟んで転がしたり」でねじが出来上がっているんですね。
「転造機」からどんどんねじが出来上がって出てきます。
「転造機」を使って1分間で200本くらいのねじが作られるそうです。
工場の中には古いヘッダーもあって、50年前のヘッダーもしっかりメンテナンスをしているので、現在も動いてねじを作っています。
ねじによってはその機械でないと作れないものもあるそうです。
興津螺旋では、直径0.8mmの小さなねじも作っています。
小さなねじには専用の機械があります。
実際にそこで作られる小さなねじを見せてもらいました。虫眼鏡で見ても、まだまだ小さいねじです。
次に第2工場に行きました。
第2工場では、加工の時に油やごみがついたねじを、洗浄機にかけてきれいに洗います。
この奥に見える、UFOみたいな釜に100kgくらいのねじが入っていて、油を取る作業と、磨く作業をします。
きれいに磨いたら、特別な資格を持った「検査員」が出来上がったねじに不具合がないか特別な機械を使って検査します。
実際には検査で見つける前に、作りながら異常がないかチェックしているそうです。
作りながらチェックをして、完成してからもきちんと製品チェックをして、実際に手に取った人が困らないように、頑張っています。
検査が終わったら、重さを量りながらぴったり本数を量って箱に詰めます。
たくさんの金属のねじが箱詰めされると、とっても重くなります。
運ぶ時には、上げ下げを補助してくれる「バランサー」という機械を使います。
「バランサー」を使うと、たくさんねじの入った重たい箱も軽々と上げ下げできます。
「バランサー」を使う体験もさせてもらいました。
そのあと「バランサー」なしで持たせてもらいました。
「バランサー」なしで持ち上げようとすると大変ですね。
もっと重たい箱は、素早く優しく運ぶアーム型機械を使います。
持ち上げる時や置くときはゆっくりと優しく、運ぶときは素早く動くこのアーム型機械は昨年末に導入された新しい機械だそうです。
そうして倉庫に運ばれたねじは、いつでも出荷できるように大きな倉庫にしまわれていきます。
夏なので工場の色んな所に風を出す機械が置いてありました。
工場で働く人たちが、暑くて大変にならないようにしてあるんですね。
工場の見学が終わったら、最後にねじ作り体験をしました。
工場にあった「転造機」を手動で動かせるようにした機械を使って、チタンのリベットに溝を入れます。
しっかりと溝を入れるために、リベットをギューッとはさみながら転がします。
力いっぱいハンドルを回して、溝をつけます。
親子パワー!
友情パワー!
いつもは機械がやっていることを、人間がやろうとするとすごく力がいることが体験できました。
しっかり溝が入ったねじに「陽極酸化」という技術を使って色を付けます。
電解液の中に入れて、通電させるとチタンの表面に「酸化被膜」という透明なバリアのようなものが出来ます。
この膜の厚さによって、膜とねじの間の光の反射に違いが出来て、色がついているように見えるそうです。
今回は特別にゆっくりと陽極酸化反応を見せていただきました。
色を付けたら、ねじの頭のところにレーザーで好きな言葉を刻印します。
さて、どんなねじが出来たかな?
出来上がったねじは、小瓶に入れて持ち帰りました。
大人も知らないことを見学出来て、大変楽しい工場見学講座になりました。
みなさんの身の回りにはどんなねじがありますか?