プログラムレポート
こどもONLYバザール大成功!:バザール日記(2018年2月17日18日開催)
公開日:2018年02月24日
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こどもバザール
2月17日と18日の2日間開催した、こどもONLYバザールは無事に終えることができました。遊びに来てくださった皆様、そしてあたたかく見守ってくださった方々のおかげです。本当にありがとうございました。
■こどもONLYバザールについて
年度当初のこども会議で、ま・あ・るの5周年という節目となる年に「何をしたいのか」を、こども店長に投げかけました。
この投げかけに対し、こども店長からたくさんの案をもらいました。
実際に“おべんとうプロジェクト”と“商店街クラブ”は、こども店長の案がベースとなった活動です。どちらも、こども店長が中心メンバーとなり、現実社会と結びつきながら活動したことで、ま・あ・るの5年間をPRする良い機会となりました。
話を戻します。
こども店長の提案で最も多かった意見は、
「こども店長だけで、バザールで、何かやりたい。」でした。
■こどもバザールについて
本来、“こどもバザール”は、“こども店長だけで運営する、こどもによる、こどものための、こどものまち”です。
そして、“こどもバザール”は「こども同士の活動を通し、自主性や創造性を育む」ことを目的に掲げています。
これに基づき、開館当初はこども店長だけで運営することを第一に考え、こどもバザールを開催していました。
その結果、どうなったかというと…。
こども店長の活動そのもののルールもなく、こどもバザールの運営形態も整っていなかったことから、こども店長は疲弊し、ご利用者様からたくさんの厳しいご意見を頂戴し、理想の“こどものまち”とはかけ離れた状態になりました。
ここから5年間。
ご利用になる皆様に楽しんでいただける“こどもバザール”を目指し、試行錯誤しながらこども店長とともに取り組んできました。
その中で特に問題となった点は、次の2点です。
①“キッザニア”さんとは違う施設。必要なのは、こどもバザールの趣旨を伝える努力。
「キッザニアみたいなところだと思ったのに、おままごとみたいなことしかしていない。」これまでに、何度も頂いたご意見です。
こどもバザールは「こども同士の活動を通して、自主性や創造性を育む場」であり「こども同士で社会の仕組みを遊びながら学ぶことができる、おしごとごっこ体験の場」です。本格的な職業体験をする場所ではありません。
この誤解は、こどもバザールが全国で他に類の見ない施設であり、言葉の説明だけではイメージしづらい部分があることと、こどもバザールの趣旨や目的をご利用者様にお伝えする努力が足りなかったためと考えました。
そこで、ま・あ・るを利用される方への説明の工夫や、館内でこども店長の活動がわかる資料の掲示など、施設内で取り組むことに加え、情報誌“まあるんダ!”に遊び方(おしごとの仕方)を掲載したり、こども店長が商店街に出張して1日限定のお店を開店したりと、イメージを発信する機会を増やしていきました。
ここで、キッザニアさんとの違いを、こども店長OGでMJVの高校生の言葉を引用させていただきます。
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問.○○ちゃんから見て「まある」のよいところ、魅力を教えてください。
答.「まある」は本当に子どもが遊んで学べる場。キッザニアは遊んで学ばせる場。
「まある」は、遊んで、自分で気づける場。うまくいえないけど、そんな感じ。
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このように、活動しているこどもたちが、その違いを理解するようになりました。そして、そのこどもたちが、ま・あ・るのPR隊長として、周囲の大人たちへ、キッザニアさんとま・あ・るの違いを発信してくれるようになりました。
少しずつではありますが、こどもバザールの在り方に賛同し、支持してくださるご利用者様が増えていると感じています。
②こどもバザールは、年に1回のイベント形式ではなく、土日祝と長期休暇の毎日開催していること。
全国には200以上の“こどものまち”イベントがあります。
ですが、ま・あ・るのように土日祝と長期休暇の毎日開催しているところはありません。
そして、こども店長は、ボランティアです。
塾でも習い事でもありません。
強制的にやらなければいけないことではありません。
こども店長として活動することそのものが、こどもたちの自主性にゆだねられているのです。
さらに、こども店長は完璧に調教された人間ではなく、多くの可能性を秘めた普通の小学生です。こども店長という立場になるだけで、しっかり教育されたデパートの店員さんのような接客対応を求められることもありました。
こども店長を大人の過度な期待から守り、自由に活動してもらうにはどうしたらいいのか。
こども店長自身が店長の役割を果たしたいという気持ちをもち、楽しんで仕事をしてもらうためにどうすればいいのか。
導き出した結論は、“こどもだけ”にとらわれず、大人スタッフがサポートをすることでした。
こども店長に、社員さんの受け入れを全てを任せるのではなく、デザインのおしごとや、こどもファクトリー、ちびっこファクトリーなど、大人スタッフが担当するおしごとをつくり、こども店長の負担を軽減しました。
また、市役所、ハローワーク、銀行などの主要機関やこどもだけでは難しいお店に大人スタッフが常駐することで、こども店長の精神的な負担を軽減しました。
あくまでも、主体的に活動するのはこどもで、サポート役が大人です。
以上のようなことから、今のこどもバザールの形が出来上がりました。
開館当初に比べ、徐々にご利用者様に受け入れていただけることが増えていったと感じています。
その一方で、いつの間にかこども店長が“とてもいい子”になってしまい、開館当初の「自分たちでやっていくんだ」という強い意志と、無茶苦茶で自由奔放な発想が少なくなっていったように感じていました。
■再び、こどもONLYバザールについて
「こども店長だけで、バザールで、何かやりたい。」
こども店長、そしてこどもバザールの活動を次のステージに進めるためには、こどもバザールの活動へ理解が深まりつつあるこのタイミングしかないと思っていた矢先の、こども店長からの提案でした。
こども店長たちも、うすうす感じていたのかもしれません。
こうして、本来の“こどもによる、こどものための、こどものまち”を取り戻すために、こどもONLYバザールは開催されたのです。
こどもONLYバザールに入れる大人のお客様は、未就学のお子様の保護者様とサポートが必要なお子様の保護者様のみというところが最大のポイントです。
ここで、こどもONLYバザール当日の、社員さんと保護者様のアンケートの一部をご紹介させていただきます。
[社員さん(こども)より]
・大人がいないとこどもの世界でうれしくてはしゃぎまわれる。
・大人にたよらない力がつく。
・こどもだけでもわかりやすく説明してくれた。
・店長さんがみんなをまとめてくれた。
[保護者様より]
・こどものみということで、大人に頼らない自主性をのばせてよいと思います。
・こども同士で指示したり、協力し合っている様子が素敵だなと思いました。
・こどもたちが自由にできてとても楽しそうです。
・こどもだけのお店はとてもステキですね。こどもだけで成り立っていたのがすごいと思いました。
本来のこどもバザールの形を、肯定してくださるたくさんのお言葉に胸が熱くなりました。
ま・あ・るが開館したとき、小学1年生だった子が、6年生になり、こども店長をひっぱる立場として活躍しています。
社員経験のある子が店長になった時期から、社員経験のない子が店長だったころと少しずつ変わってきたことを思い出しました。
こども店長のメンバーは変わっていきますが、こうして続けることで引き継がれていく部分があるのだと思います。
今回のこどもONLYバザールは11月から準備を始めていますので、毎回こども店長だけということは、まだまだ難しいです。
ですが、こどもバザールがこども店長だけでつくられるものだということを多くの方に知っていただき、ご理解いただけたら、ここから5年後には、こども店長だけのこどもバザールを開催できるようになるのではないかと考えています。
こども自身の可能性を信じ、あたたかく見守っていただけると嬉しいです。
では、ここから当日の様子を紹介します。
●はじめの会
いつもはこども店長全員で行うはじめの会ですが、この日はこども店長の人数が多いため、実行委員と各店舗のリーダーが集合しました。実行委員長と副委員長から、確認しておくことや気を付けるポイントを聞きます。
ピンクのベストを着ている子が実行委員メンバー、そのうち8名がいつも大人スタッフが使用しているトランシーバーをもち、こども店長同士で連絡をとりあいます。
あっという間に開店5分前に。あわてます。
●3階はいつもとかわらない運営
開店早々に【ざっかや】には、限定商品を買い求める子の姿が。
モールのくまさんで、オリンピックを表現した商品です。ざっかや店長が何日もかけて完成させました。
この日に販売することを、事前に予告していた店長の作戦勝ち!?
【市役所】
市役所は大人スタッフ3名がフォローに入りましたが、こども店長が、社員さん受け入れからお客さん対応まで率先して行いました。説明することが多い日ででしたが、落ち着いて、丁寧に対応ができました。
お客様へのアンケートも実施しました。店長が個別にお声がけしたり、館内に設置したりして、85名の方に協力していただきました。
【ハローワーク】
人数間違えや紹介忘れなどもありましたが、それは大人でもあること。間違えや失敗をするために、こどもバザールがあると言っても過言ではありません。
はじめての社員さんには個別に対応するなど、大人スタッフがいない方が細かなサポートができるということがわかりました。
【銀行】
社員さん受け入れをしながら、通常の銀行業務もきっちりできました。ちびっこさんの保護者様へのお声がけもバッチリでした!
【食品サンプルや】
ゆうびん局閉店に伴い、3月下旬から新しくバザールのお店に加わるお店です。この日だけ限定でプレオープンしました。実行委員メンバーが運営をしていることもあってか、とってもスムーズです。社員さん受け入れも完璧。
販売している商品もなかなか。(この日は限定の特別値段です。)
【プラバンや】
店長のチームワークは、ピカイチ!
限定商品の、プラモプラバンとハンバーガープラバンも大人気でした。
【ビューティーショップ】
久しぶりに、ヘアアレンジの練習ができるマネキンが登場!
お客様の質問にも、丁寧に答えている店長に頼もしさを感じました。
【ゆうびん局】
いつもよりもお客さんがたくさん来て大変そうでしたが、その分、とてもイキイキしていました!
【ゲームや】
一番心配していたお店です。
想像以上にスムーズに落ち着いて運営できていました。ピンチのときもとっさの判断で臨機応変に対応できていて驚きました。
【デコめいしや】
社員さん受け入れをストップすることなく、店長同士で注文の対応をすることができました。
【ざっかや】
事前準備から、当日の運営まで完璧でした。店長同士がメモなどを使って連絡を取り合って、準備を進めてきた成果がしっかりと出ていました。
●4階はザワザワ!?
【ちびっこおこづかい】
いつもは銀行でお渡ししている“ちびっこおこづかい”を、4Fのミニロボエリアでお渡ししました。ま・あ・る開館5周年にかけ、なんといつもの倍の金額“500まある”をプレゼント!!みんな大喜び!!
【デザインのおしごと】
普段は大人スタッフが担当しているデザインのおしごとを、こども店長が担当しました。いつもは25分のおしごとで250まあるのお給料ですが、この日は25分のおしごとで300まあるもお給料がもらえました。社員さんはウキウキです。
店長同士でローテーションを組み、社員さんの受け入れから、席の誘導、そしてパソコンの説明まで、とてもスムーズに行っていました。お昼休みの時間も交代で開催し、はじめてさんや低学年の社員さんには個別にフォローをしていました。
【とくべつなおしごと:ダンサーのおしごと】
こどもが教えるとくべつなおしごととして、ダンサーのおしごとを開催しました。
40分のおしごと時間のうち、35分でダンスを憶え、残りの5分を発表の時間にするスケジュールでした。お給料は400まある。ダンス経験者だけでなく、初めての社員さんもたくさん挑戦してくれました。社員さんの学年に応じて丁寧に仕事を教える店長の姿を見ることができました。
【動画上映】
①2014年に映画制作プロジェクトがつくった清水駅前銀座商店街を舞台にした映画
②2016年にPRプロジェクトがつくった「ま・あ・るの不思議な1日」
③おどってみた(ダンスの動画)
④こどもONLYバザール参加店長のインタビュー映像
こちらを15分おきに上映しました。4本全部みたら150まあるがもらえるスタンプラリーもやっていました。
準備不足で初日はバタバタしていましたが、実行委員を中心に店長同士で協力してなんとか上映スタート。2日目は、実行委員長が作ってきた動画の紹介原稿を使いながら、応援で入った店長が工夫しながら上手に運営していました。
会場MAP、ダンスの発表時間、動画上映のプログラムの表示。
お客様があまり集まらない動画上映。会場の場所がわかりにくいと考え、通路に表示をつくる店長の様子。
【笑顔の木】
「何をもって成功とするのか」の問いに対して、実行委員が出した答えは「お客さんや社員さんが楽しむこと」でした。そして、楽しさをはかるために考えたのが、みんなに感想を書いてもらう“笑顔の木”です。
こちらも準備が当日の朝になりましたが、放送をしたり、表示をつくったり、ワーキングプログレス方式で見事に完成しました。
付箋に感想をかいて
はる
※社員さんの感想動画も是非ご覧ください。
【その他】
トランシーバーで連絡を取り合う様子。
現場にかけつける、実行委員長。
はじめてのお客様へのお声がけ。
おわりの会(初日)
当日の運営について、お店ごとに振り返ります。(動画も是非ご覧ください。)
初日、おわりの会終了後。
実行委員でよりスムーズな運営にするために、翌日に向けた作戦会議。(動画も是非ご覧ください。)
最後に。
こどもONLYバザールのように、大人スタッフが介入しないこどものまちは、見たことも聞いたこともありません。こどものまちの大先輩であるドイツのミニミュンヘンも全国にあるこどものまちイベントも、必ず大人スタッフや専門家が常駐しています。
そういった意味では、世界で初めての、こどもONLYバザールだったかもしれません。
当日はこども店長に厳しいことを言ってしまいましたが、本当に素晴らしかったです。
大人に頼らないで自分たちで解決するという強い意志を全員から感じましたし、想像以上にそれぞれが臨機応変に対応することができていました。みんなと一緒に活動できることを誇りに思っています。
ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
おまけ。
バザール内に設置したカメラをモニターでチェックする大人スタッフ。
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