プログラムレポート
薬用植物園に行こう! 館外講座の様子(2023年4月4日開催)
公開日:2023年04月10日
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しごと・ものづくり講座
4月4日は静岡県立大学薬草園の山本羊一先生のご協力で、薬草園内の見学ツアーを開催しました。
山本先生は、造園業のお仕事経験があり、現在は薬学部の教育のための生薬として使われている薬用植物の管理に携わっています。
薬草園は、静岡県立大学の付属薬用植物園として、薬学部の教育に必要な植物の栽培、収穫および研究を行うこと、さらに静岡県民および一般社会人に対して生涯教育の場を提供することを目的に、1989年の静岡県立大学開設と同時に設置されました。
はじめに、温室を案内していただきました。
温室内でもひときわ目立つバナナ。
立派ですね。
バナナの葉は抗菌効果があるとのことで、大きなバナナの葉を切って見せてくれました。
こちらはバニラです。
お菓子づくりにもバニラビーンズはよく用いられますね。
続いてシナモンです。
シナモンには、体の冷えを取り除き、血の巡りをよくする成分が含まれています。
シナモンの心地よい香りがしますね。
こちらの温室は、一年を通して平均25℃に保たれていて、10℃以下にならないように管理されています。
夏場はファンを回して一定の温度をキープしています。
栽培されている植物は他にも、ジャボチカバやマンゴーノキ等南国のフルーツがあります。
めずらしい植物が多くて面白いですね。
続いて標本園に向かいます。
こちらは、漢方に広く処方される「ミシマサイコ」です。
昔、三島が良質な集荷地だったことからこの名前がついたそうです。
こちらは「コムギ」と「オオムギ」です。
どちらも同じイネ科の穀物です。
この2つは含まれるタンパク質が異なり、「コムギ(小麦)」はグルテン、「オオムギ(大麦)」にはホルデインが含まれています。
「コムギ」に含まれるグルテンは粘り気があって膨張性にすぐれているため、パンやうどん、お菓子類などに使われます。
サイズの違いで名前が付けられているのではないのですね。
その他、薬用植物には、葉を使うものや根を使うものなど様々です。
よく知られている「ウコン」ですが、種類によって中身の色や香りも異なります。
料理に使用されるターメリック(ウコン)やガジュツ、春ウコンを観察します。
その他、「アマ」、「ドクダミ」、「ボタン」、「シャクヤク」、「パクチー(コリアンダー)」、「カモミール」、「ラベンダー」、「アロエ」、「クヌギ」、「ゴボウ」など、様々な植物を紹介していただきました。
こちらは「クソニンジン」です。
名前に驚いてしまいますが、とてもすごい効果があります。
「クソニンジン」のエーテル抽出物がマラリアに驚異的な効果をもたらすことが発見され、マラリアの研究に貢献しました。
名前だけでは判断しきれない植物がたくさんあることも学びました。
日本で自生しているニッケイです。
薬用の目的として昔に中国から輸入されました。
その後、各地で植えられたり、暖かい所では野生で見られます。
昔は、ニッキアメに使われたり、お祭りの屋台などで売られていたそうです。
現在のニッキ飴は、セイロン・シナモンやシナ・ニッケイを使っているそうですが、昔ながらのニッケイを使うのは現在はレアなものになっているそうです。
かじって確かめてみます。
「少し甘味も感じられるよ!」
貴重な体験ですね。
1時間30分の講座で、約850種ほど育てられているうちの一部をご紹介いただきました。
季節に合せて、色々な植物を観察しに訪れてみてくださいね。
静岡県立大学の薬草園は平日午前9時から午後5時まで無料開放されています。
今回も大変貴重な体験をありがとうございました。
次回開催もおたのしみに。