プログラムレポート
オリジナルスプーン作り 講座の様子(2023年4月3日開催)
公開日:2023年04月07日
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しごと・ものづくり講座
4月3日は、小野銅工店の小野裕康先生にご協力いただき、オリジナルスプーン作りの講座を開催しました!
小野先生は金属を叩いてカップやスプーン、お皿など色々作ることができる鍛金師(たんきんし)です。
今日は、先生のお話を聞きながら色々な道具を使って真鍮のスプーンを作ります。
今日使うのは真鍮(しんちゅう)という金属です。
身近なところで言うと五円玉硬貨に使われているのが真鍮ですね。
あらかじめ、先生が真鍮の板をスプーンの形に切ってきてくれました。(写真左)
板を切っただけのものは、まっ平で、切り口もざらざらしています。
先生が持ってきてくれた見本スプーン(写真右)には、きれいな模様がついていて全体的に丸みがあって、滑らかです。
どうやって、金属の板がスプーンになるのでしょうか。
金属には「加工硬化」と言って叩くと硬くなる性質があります。
早速、スプーンの丸いところを叩いて硬くしていきましょう!
スプーンの丸いところを叩いて硬くするときは、「いもづち」といって打面が丸くなっている金槌を使います。
金床(鉄の台)の上で真鍮をカンカンと叩いていきます。
「丸いところの真ん中から、外に向かって叩くときれいにできるよ」と先生が教えてくれました。
真鍮を鉄の金槌で叩くと、表面に模様が出来ました。
模様を全体的につけることができたら、今度は木の台の上でスプーンの丸みをつけます。
丸みをつけるときは真鍮が傷ついてしまわないように、真鍮か真鍮よりも柔らかい金槌を使います。
最近はプラスチックのハンマーもあるそうです。
叩く側の素材を叩かれる側の素材より柔らかいものにすることで、作品に傷をつけずに加工が出来るそうです。
木の台に空いている窪みの上にスプーンの丸いところを乗せて叩きます。
木の台の窪みに合うように、スプーンの丸みがついていきました。
今回は新1年生から中学生まで参加してくれました。
みなさん自分のペースで作業を進めて、先生が進行状況に合わせて次の作業について教えてくれました。
スプーンの丸みをつけることができたら、持つところにアルファベットの刻印をします。
使うのはこの道具。
「刻印」と柄の短い金槌です。
最初にアルミの板を使って刻印の練習をしました。
柄が短い金槌は狙いを定めやすかったですね。
よく狙ってドン!ドン!と2回くらい叩くと、金属に刻印が出来ます。
練習が終わったら、いよいよ本番です。
真鍮はアルミより、硬くて滑りやすいです。慎重になりつつも、力を入れてドン!ドン!と刻印します。
刻印が出来たら裏返して、木の台の上で刻印をした持つところを裏から叩いて、丈夫な形にします。
裏から叩くときは、傷がつかないように真鍮か真鍮よりも柔らかい金槌を使います。
反り返ったところは先生が木槌を使って直してくれました。
ここまで出来たらいよいよ仕上げです。
真鍮の板の断面部分はまだ目には見えないギザギザしたところがあるので、断面全体にやすり掛けをします。
手で持つ部分、口に入る部分もあるので、指先で触って確認しながら、滑らかになるように丁寧にやすり掛けをしました。
最後に研磨剤をつけて磨きます。
磨くとスプーンの表面がピッカピカになりました!
これで完成です。
皆さん、世界で一つしかない自分だけのスプーンが出来ましたね!
先生が「毎日大事に使うことで、真鍮の表面に酸化被膜という、中をサビさせない膜が出来るから、できるだけ毎日使って拭いてください。」と教えてくれました。
確かに、最初に見せてもらった真鍮の板や皆さんが作った出来立てのスプーンと、先生が持ってきてくれたスプーンの色は少し違います。
皆さんも、じっくり大切にスプーンを育ててくださいね!
またの開催をお楽しみに!