プログラムレポート
【ま・あ・る×る・く・る特別講座】ゆらゆらゆれるモビールを作ろう 講座の様子(2023年1月29日開催)
公開日:2023年02月03日
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しごと・ものづくり講座
1月29日は静岡科学館る・く・るの皆さんにご協力いただき、モビール作りの講座を開催しました。
午前中は小学1年生から3年生の親子参加講座、午後は小学校4年生から6年生の子どもだけの講座として開催しました。
る・く・るのお仕事
初めに、静岡科学館る・く・るのお仕事についてお話をしてもらいました。
る・く・るは「みる、きく、さわる」をキーワードに、来館した人に科学を楽しんで、身近に感じてもらう施設として2003年4月に開館しました。
今年の4月で20周年なんですね!
館内では大体30人くらいの人が働いていて、様々な館内展示について説明をしたり、より科学を身近に感じてもらう展示やイベントを企画したりしています。
たくさんの人の笑顔に出会えたり、大学や博物館、小中学校、高校の先生、色々な企業の人に出会えたりする楽しみがあるお仕事だそうです。
2月19日までは、身近にある世界を大きくしてみた「大きくしてみた!」という企画展もやっています。
る・く・るの人たちはこういった展示に使うものを誰かに作ってもらったり、どういう内容にしたら楽しんでもらえて、科学のことを身近に感じてもらえるかを考えているんですね。
興味のある人は是非る・く・るに遊びに行ってみてくださいね!
実験してみよう!
皆さんはモビールを知っていますか?
モビールとは、アメリカの彫刻家が「動く抽象画を作りたい」というところから作られた芸術作品につけられた名前です。
現在では風で動く室内装飾としてのモビールが一般的ですね。
今回の講座では、吊り合いを保つ方法を学びながら、雪の結晶の飾りがついたモビールを作ります。
ところでモビールの棒はどうしてきちんとバランスを保って横にまっすぐになっているのでしょうか?
ここには左右の吊り合いに関する、科学の力が関係しているんですね。
まず初めに、「吊り合ってる」ということについて先生に教えてもらいました。
シーソーの両側に、同じ重さの人が乗っていると、シーソーはまっすぐになって吊り合っています。
では、重さが違う人がシーソーに乗るとどうなるでしょう?
公園で大人とシーソーに乗ったときに、シーソーが上がったままになってしまったことはありませんか?
重さが違う人がシーソーに乗ると、重たいほうにシーソーが傾いてしまいます。
実際に、皆さんのところにシーソーをイメージした天秤棒とおもりの付いたクリップを使って実験をしてみます。
同じ重さのおもりがシーソーの両端についている時、棒の真ん中で吊り下げると、吊り合いがとれました。
次に重さが大きなおもりを片方に吊り下げてみます。
みんなの予想通り、重たいほうに傾いてしまいました。
では、どうしたら吊り合いがとれて、棒がまっすぐになるでしょうか?
色々な方法を皆さん試してみました。
「上がっているほうにもう1つおもりをつけたらどうかな?」
「重いほうを、もっと真ん中のほうにつけたらどうかな?」
色んな方法を試してみます。
色々な方法が見つかりましたね。
実験をしてみた後、先生が吊り合いが取れる方法を大きく分けて2つ教えてくれました。
1つは重いおもりを真ん中に近づける方法。
もう1つは、ぶら下げている真ん中の紐の場所を変える方法です。
真ん中の紐の場所を重たいおもりのほうに近づければ、おもりが両端にぶら下がっていても上手い具合に吊り合いがとれます。
実際に試してみました。
なるほど、「両端におもりをつけて吊り合いを取るためには、”真ん中”を動かせば良い」ということが分かりました。
モビールを作ってみよう!
さて、実験が終わったらいよいよモビール作りです。
先生が配ってくれた材料の中には2本の棒と、雪の結晶の形の飾りがついた糸が入っていました。
こんな風にみんなが楽しく作りやすいように、材料を作るのも、る・く・るの人のお仕事なんですよ。
2本の棒の両端には、あらかじめ飾りをぶら下げるための金具がつけられていました。
最初に、どんな風に飾りをぶら下げるかを並べてみます。
どの飾りをどんな風にぶら下げるか決めたら、金具(ヒートン)に飾りをつけていきます。
金具に飾りをつけることが出来たら、ぶら下げてみます。
ここで、先ほどの実験で先生が教えてくれた「両端におもりをつけて吊り合いを取るためには、”真ん中”を動かせば良い」というのが関係してきます!
飾りの場所は動かすことが出来ない金具なので、ぶら下げている真ん中の紐の場所を変えながら、吊り合いが取れるところを探します。
少しずつ、少しずつぶら下げている紐の場所をずらしながら、ちょうど吊り合うところを探しましたよ。
吊り合っているところが見つかったら、接着剤で紐を止めます。
接着剤が乾くまでの間、身の回りにある吊り合いが関係するものを紹介してくれました。
洗濯物干しハンガーです。
皆さんは洗濯物干しハンガーに洗濯物を干すお手伝いをしたことがありますか?
洗濯物を初めから端っこにつけてしまうと、もう片方の端っこが上に上がってしまって、洗濯物が干しにくくなってしまいますよね。
そこでバランスよく洗濯物を干す方法を考えてみました。
こんなところにも、吊り合いが関係しているんですね。
洗濯物干しハンガーのどこから、どんなものを干せばいいか、考えながらお手伝いをしてみましょう。
接着剤が乾いたか、持ち上げてみます。
良い感じですね!
もう1つの棒に飾りをつけて、先ほど作った吊り合いの取れている飾りをひっかけます。
もちろん、先に作った飾りをぶら下げた側が重いので、ここでも上手く吊り合いがとれるように真ん中の紐をずらして、ちょうど吊り合うところを探します。
ちょうど吊り合うところが見つかったら、先ほどと同じように、接着剤で紐が動かないようにします。
接着剤が乾くまでの間、先生がちょっとした実験を見せてくれました。
おもりをぶら下げる場所と、おもりの重さの関係の実験です。
天秤の、真ん中からの距離×おもりの重さが左右で同じになる時に、天秤がちょうど吊り合うようになっていますね。
この真ん中のことを「支点」と言います。
今回作ったモビールも、正確な数字にするのは難しいですが、支点からの距離×おもりの重さが同じになっているから、棒がまっすぐになっているんですね。
この仕組みは「てこの原理」と言って、色々なところで役立っています。
重いものを持ち上げるとき、支点を重たいもののほうに近づけて、力を加えるところを支点から遠くすればどうでしょう?
簡単に重たいものを持ち上げることが出来ますよね。
釘抜やはさみなどにもこの仕組みは使われています。
接着剤が乾いたら、全部を吊るしてバランスを確かめて完成です!
モビールを作る中で、重さ、力がどういう風に働いているか、吊り合いをとるにはどうしたらいいか、たくさんの学びがありました。
皆さんも、吊り合いの仕組みが使われている身の回りのものを探してみると面白そうですね!