プログラムレポート
マンガを描こう! 講座の様子(2023年1月28日開催)
公開日:2023年02月03日
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しごと・ものづくり講座
1月28日は岩本三四郎先生のご協力で、ペンとインクを使ってマンガの描き方を体験する講座を開催しました。
今回はB5サイズのケント紙に、下描き、ペン入れ、トーン貼りをすることを目指して、講座を進めます。
まずは、下描きの下描き。
描きたいものを練習用の紙に描いてみます。
自分で考えたオリジナルのイラストでも良いですし、持ってきた資料を見ながら模写をしても良いです。
模写をするときのコツとして、先生が「模写をするキャラクターがどっちにどのくらいの角度で向いているか、簡単な線でまとめながら描くと良い」と教えてくれました。
これは「アタリをとる」という技術です。
おおよその見当をつけて画面全体のバランスを取ったり、描いてあるものの位置や、キャラクターの頭や手足の大きさのバランスの目安をつける技術です。
頭を丸く簡略化して描いたら、顔の真ん中がどこにあるのか、目の高さはどのあたりか、耳はどこか、大体の目安になる線を薄く描いていきます。
デジタルでイラストを描くときは、自由に場所を変えたり、大きさを変えたり、描き直しが簡単にできます。
アナログで描くときは大きな描き直しが出来ないので、この「アタリをとる」ところが重要になってきます。
これはマンガに限ったことではなく、アナログで絵を描くとき全般に言えることですね。
全体のバランスや、キャラクターのバランスの大体のアタリがとれたら、細かい部分の模写をします。
実際のマンガのペンは太い線や細い線があります。
細かい模写の下描きをするときは、一気に線を描かずに、少しずつ描くと良いと先生が教えてくれました。
線の太さも意識しながら、模写してみましょう。
練習用の紙に大体の模写が出来たら、今度は本番用の紙に同じように描いていきます。
本番用の紙は「ケント紙」という少し厚みのある、吸水性が低い、表面が滑らかな紙です。
インクがにじみにくく、摩擦にも強いので、インクや消しゴムをよく使うマンガを描くときには、よくケント紙が使われています。
形を移すときに、シャーペンで描いたり、力を入れて描いたりしてしまうと紙に凹みが出来て、ペン入れの邪魔になってしまいます。
あまり筆圧をかけないで、鉛筆で描いていきます。
ケント紙に下描きが出来たら、いよいよペンとインクの登場です。
ペンを使う前に先生からペンの仕組みのお話がありました。
今回使うGペンは、力の入れ方やペンを動かす向きによって色々な線を描くことが出来ます。
先生の手の動きを皆さん真剣な眼差しで見ていました。
ケント紙にペン入れをする前に練習用の紙で、ペンの練習をします。
下描きをするときは少しずつ描いても大丈夫でしたが、ペン入れは途中で止まったり、ゆっくり描いたりしてしまうと上手く線が引けません。
思い切って描くことが大事だと先生が言っていました。
また、そのためにもたくさん絵を描いて、「手が動きを覚えるように」することが大切だと教えてくれました。
ペン入れをするときは、「手が動かしやすいように、紙を回す」というテクニックも教えてもらいました。
先生に教えられた通り、紙を回しながらペン入れをすると、紙とペンの角度を一定に保ちながら描くことが出来ました。
ペン入れが終わったら、インクがしっかり乾いたことを確認してから、消しゴムで下描きの線を消します。
デジタルの作業だと、一瞬で終わる作業ですが、ペンとインクを使ったアナログの作業だと色々と大変なことが分かります。
下描きの線を消したら、細いペンを使って、ボリュームをつけたいところや、線をしっかりつなげたいところなど、修正をします。
筆ペンを使うと、広い範囲を黒く塗ることが出来ます。
筆ペンの力の入れ方、動かし方が上達すると、黒髪の光の表現なども出来ます。
普段何気なくマンガで見ている表現方法を色々と学ぶことが出来ました。
線がきちんとかけたら、「スクリーントーン」を貼ります。
白黒のマンガイラストをよく見ると、影になっているところや本当なら色がついているところがグレーになって見えるところがあります。
実は、白黒のマンガは白い紙に黒いインクしか使われていません。グレーのように見えるところには細かい点々や線がたくさん描いてあるシールが貼ってあるんですね。
それが「スクリーントーン」です。
スクリーントーンの基本的な使い方も先生が教えてくれました。
デザインナイフを使って、必要な分量だけスクリーントーンを切り取ります。
形を切り抜いたら、ケント紙に貼り付けます。
最後にしっかり貼り付くように、しっかり押さえます。
デザインナイフで下のケント紙を切ってしまわないように、力加減が必要です。
デジタルで同じ作業をするときは、「模様で塗りつぶす」だけで済みますが、アナログだとこんなに大変なんですね。
アナログで白黒のマンガを描くときにはこんな風にして描かれています。
最近はほとんどデジタルが主流になっていますが、出来上がる仕組みを理解しておくと、表現の幅が広がりますね。
最後に先生が絵の上達方法を教えてくれました。
それは「1度、しっかり見て描いたものを、2回目は見ないで描いてみる」ということだそうです。
頭の中にしっかり記憶して描くことを目指すことで、見ながら描くときもしっかりと観察する癖がつきますよね。
「絵の上達には、何度も何度も描くしかない」ということも先生は言っていました。
次回の開催もお楽しみに!