プログラムレポート
かたちの不思議(2022年9月19日開催)
公開日:2022年10月01日
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しごと・ものづくり講座
9月19日は、折り紙を使って正四面体を作る「かたちの不思議」講座を開催しました。
今回は「フラクタル」について考えて、シェルピンスキーの三角形を立体にした4つの正四面体を作ります。
フラクタルってなに?
フラクタルとは「自己相似」、自分の中に同じ構造のものを内包する形のことで、フランスの数学者マンデルブロが考え付いた、形のことを考える「幾何学」の考え方の一つです。
ラテン語で「かけら」を意味する「fractus(フラクタス)」から、「フラクタル」という名前がつけられました。
同じ形のかけらが集まって、同じ形を作っている形です。
自然の中にもフラクタルに似た、形がたくさんあります。
色々な木は同じ規則で枝分かれをしていて、先に行くほど小さな葉っぱがついています。
森の木たちは特定の規則で葉っぱをつけることで、光が満遍なくどの葉っぱにも当たるようになっているんですね。
野菜のロマネスコなども、ドリルのような形がたくさん集まって大きなドリルの形を作っている、「自己相似」と言えますね。
シェルピンスキーの三角形ってなに?
ポーランドの数学者、シェルピンスキーが考え付いたのが、「正三角形の中に、正三角形の穴を開けていく形」です。
この形は「シェルピンスキーの三角形」と呼ばれています。北条氏の家紋「三つ鱗(みつうろこ)の家紋」に似ていますね。
今回は、このシェルピンスキーの三角形をもとに立体にした「シェルピンスキーの三角形の正四面体」のほんの一部を作ってみます。
一体どんな秘密が隠れているのでしょうか。
作ってみよう!
早速折り紙で正四面体を作ってみましょう。
少し厚手の折り紙で、しっかり折りすじをつけるのが上手に作るコツです。
上手く折っていくと、正三角形が5つつながった台形のピースが出来上がります。
端っこにあるポケットに、反対側の端っこを入れ込めば、正四面体の出来上がりです。
これを4つ作ります。
4つ出来上がった人には、「シェルピンスキーの三角形」の作図にチャレンジしてもらいました。
※実際には無限に続くので、その一部を描いています。
出来上がった4つの正四面体をビニールテープを使ってつなげていきます。
きれいに仕上げるために、ビニールテープに切れ込みを入れて、正四面体が見えやすいようにしました。
これで、「シェルピンスキーの三角形の正四面体」のかけらが出来ました。
出来上がった「シェルピンスキーの三角形の正四面体」のかけらをクルクル回して、色々な方向から見てみると一瞬だけ向こう側が見えなくなるところがありました。
すべての穴がふさがって見えるところがあるんですね。
つまり、その方向から光を当てると、穴のない完全な日影が出来るというわけです。
この仕組みを使って作られているのが、「フラクタル日よけ」です。
小さな穴と、小さな板が集まっているフラクタル日よけは、自然の木漏れ日のような日影を作り出します。
時間とともに影の形は変わっていき、日よけの真上から光が当たる、お昼ごろにはその影が一番大きくなるようになっています。
小さな板は熱くなりにくいので、穴の開いていない板よりも、自然に近い涼しい日影が出来上がります。
これは京都大学で、地球環境のことを考えている先生が、数学のことを考えている先生と形の話をしながら見つけた性質を、家を作る会社が形にした日よけです。
色々な人の力が集まって、生活が豊かになるものが生まれています。
皆さんの周りにはどんな「かたちの不思議」がありますか?
探してみてくださいね。