プログラムレポート
教えて日本銀行! 講座の様子(2022年8月4日開催)
公開日:2022年08月14日
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しごと・ものづくり講座
8月4日は、日本銀行静岡支店様のご協力で、出前講座として「教えて日本銀行!」の講座を開催しました。
去年も開催した、親子で参加できる大人気の講座です。
日本銀行って何をしているところ?
まず初めに、日本銀行や日本銀行静岡支店についてのお話がありました。
現在、日本銀行静岡支店は、江戸時代に小判を作っていた「駿河小判座」があったところにあるそうです。
ここで先生から質問です。
「日本銀行って何をしているところだと思いますか?」
参加者からは「お金を作っているところ!」など意見が出ていました。
日本銀行には、大きく分けて3つの役割があります。
- お札の発行
- 物価の安定
- 金融システムの安定
の3つです。
お札の発行から処分までを管理したり、金融政策を通じてモノの価値が安定するように努めたりしているんですね。
お金って何でしょう?
では、「お金って何でしょうか?」
先生から質問です。
「お金がなかった時代、みんなどうやって欲しいものを手に入れていたでしょうか?」
「物々交換」「貝や石を使って交換していた」など、色々な意見が出ました。
どれも正解です。
では、それらの方法と違ってお金の良いところって何でしょうか。
皆さんに配られた「にちぎんキッズ」の冊子を見ながら考えてみましょう。
お金には3つの便利な機能があります。
- モノを交換する機能
- モノの価値を測る機能
- モノの価値をためておく機能
この3つの機能を持つためには以下の3つの条件が必要です。
- みんなにとって価値のあること
- 1つの単位が小さいこと
- 材質が変化しにくいとこ
この3つの条件を満たすために、特殊な紙や金属でお金が作られているというわけです。
さて、ここで皆さんに質問です。
2021年12月末に世の中にはどれくらいのお金があったでしょうか?
答えは122,000,000,000,000円。122兆円だそうです。
ちょっと大きすぎて実感が湧かないですね。
お札の一生
そんなお札は「国立印刷局」というところでお札は作られています。
硬貨を作っているのは「造幣局」だそうです。
色々な印刷加工を経て、お札は作られます。
封包されたお札の見本を日本銀行さんが持ってきてくれました。
1万円札が1万枚のものがビニールでまとめてあります。
重さにするとなんと、10kgもあるそうです!重たい!
「国立印刷局」で作られたお金は、日本銀行に運ばれて、さらに色々な銀行に運ばれて、街(世の中)へ出ていきます。
街(世の中)へ出て行ったお金は、物を作ったり、買ったり、食事をしたり、色々なことに使われて、また銀行に戻ってきます。
銀行に戻ってきたお金は、また日本銀行に戻ってきます。
日本銀行に戻ってきたお金は、「鑑査」といって偽物じゃないか、ボロボロになっていないかなどのチェックをされます。
そして、偽札は警察に行き、きれいなお札はまた街(世の中)に行き、ボロボロになったお札は裁断されて一部は家を建てる建材などになるそうです。
今日は少しだけ裁断したお札を分けてもらいました。お疲れ様のお札ですね。
偽札を作らせない、見分ける技術
ところで、偽札か本物かをどうやって見分けるのでしょうか?
本物のお札には、偽物と見分けるための色々な仕掛けがしてあります。
まずは「深凹版印刷(ふかおうはんいんさつ)」。
紙にインクが盛り上がるように印刷してあるので触るとそこだけ手触りが違います。
また、深凹版印刷で「識別マーク」も印刷されています。
これは目の不自由な人も、手触りでお札の種類が分かるようにしてある工夫でもあるんですね。
目を閉じて触ってみると深凹版印刷の凹凸がよく分かりました。
「すかし」は皆さんもよく知っている、偽造防止技術ですね。
そして、「潜像模様(せんぞうもよう)」や「パールインキ」。
お札を傾けると模様が見えたり、お札の端の色が変わって見えたりします。
色々な角度からお札を観察しました。
さらに、お札の所々に隠れるようにして「NIPPONGINKO」と小さな文字で書かれている「マイクロ文字」。
「マイクロ文字」は皆さんルーペを持ってきていただいて、じっくり見ていました。
一見すると模様のように見えるので、見つけたときに少しうれしくなってしまいますね。
そして、五千円札と一万円札には「ホログラム」と言って角度によって色や模様が変わる印刷もしてあります。
二千円札には「光学的変化インキ」という特別な印刷もしてあるので、もし手元にやってきたときは見てみてください。
そして、最後に「特殊発光インキ」という技術を教えてもらいました。
これはブラックライトを当てたときだけ、オレンジ色に光るというもので、暗い箱の中でブラックライトを当てて観察しました。
お家ではあまり見ることのない、オレンジに光る日本銀行総裁の印に皆さん驚いていました。
こんなにも、色々な偽造防止技術で偽造を防止するのはなぜでしょうか?
もし、偽札がたくさん世の中に出回ってしまったら、偽札を受け取ってしまった人が損をしてしまいます。
そうなると、お金が信じられなくなって、受け取るたびに確認が必要になってしまいます。
「お金を信じてもらうように」、偽札が出回らないようにしないといけないんですね。
2024年に発行される新しいお札には、世界中の色んな人にとって使いやすくするための工夫や、さらに特別な偽造防止技術が施されているそうです。
新しいお札、早く見てみたいですね!
お札引き換え鑑定にチャレンジ!
汚れたお札や、破れてしまったお札、燃えてしまったお札はどうすればいいのでしょうか?
そんな時は、銀行に持っていくと「引き換え鑑定」をしてくれて、条件を満たしていれば全額や半額で引き換えてくれるそうです!
皆さんで「引き換え鑑定」にチャレンジしてみましょう!
お札のどのくらいの面積が残っていれば、引き換えが出来るか、「鑑定板」を使って測ってみます。
分数を使うので、ちょっと難しかったですが、皆さん頑張って鑑定していました。
静岡県の経済のお話
さて、最後に静岡の経済について日本銀行営業課、廣山課長からお話がありました。
「経済」ってなんでしょう?
「経済」とは「生産」「流通」「消費」で出来ている「生活の一連の流れ」だそうです。
そして、そこに欠かせないのが「お金」というわけですね。
静岡の経済の大きさは日本で10番目だそうです。
物づくりだけで比べてみると、大体東北6県を合せたくらいと同じだそうです。
凄いですね!
特に静岡の物づくりで凄いのは、ピアノ、バイク、ツナ缶、プラモデルです。
ピアノの出荷は全国で静岡だけ!プラモデルは9割近くが静岡で作られています。
廣山先生が、「静岡県の日本一 Myしずおか日本一」(静岡県公式ホームページ掲載)を紹介してくれました。
静岡県が一番のものが集められているので、皆さんも是非見てみてください。
廣山先生は「景気」についても教えてくれました。
ものを売ったり、買ったりすることや、お金のやり取りも含めて、「世の中の経済活動の様子」のことを「景気」と呼びます。
改めて廣山先生が日本銀行の役割についてお話してくれました。
日本銀行は「経済のお医者さん」のような立場で、「経済」という体が元気かどうかをいつも調べています。
「お金」という経済にとっての血液が、元気に流れるようにしているそうです。
パネル展示と1億円の重さ体験
講座が終わったら、皆さんでパネル展示や、1億円を持ってみる体験をしました。
パネル展示では、新しいお札のこと、偽造防止技術のことなど、今日の講座を振り返りながら楽しめましたね。
1億円の模擬パックを持ってみると、やっぱりとっても重かったです。
「10kgのお米の袋と同じなんだね」と大人の方もチャレンジしていました。
お家でも静岡の経済のことや、お金のことをにちぎんキッズの冊子を見ながら、みんなで話してみてくださいね!