プログラムレポート
カレースプーンを作ろう 講座の様子(2021年8月28日、29日開催)
公開日:2021年08月30日
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しごと・ものづくり講座
8月28日、29日は沼津で「小野銅工店」をされている、鍛金師の小野裕康先生にお越しいただき、真鍮(しんちゅう)でカレースプーンを作る講座を開催しいました。
作業に入る前に先生から、今回使う「真鍮」について説明がありました。
真鍮は、五円玉にも使われている金属で、亜鉛が含まれた合金なので銅より硬いそうです。
先生があらかじめスプーンの形に切って、少しだけ丸みをつけた状態からのスタートです。
「丸棒」の上にスプーンの掬う部分をあてて、「カラカミ」という打つ部分が平らなハンマーで叩いていきます。
わくわくアトリエ中にトントンと音が響きます。
上手く叩けると、スプーンの掬う部分にからかみで叩いた模様が出来上がっていきます。
丸棒に、しっかりスプーンをあてて角度を調節しながら、全体を叩いていきます。
金属には叩くと硬くなる性質(加工硬化)があるので、力いっぱい叩いて、硬くしながら形を整えていきます。
途中で形を直すために先生が木槌で形を整えてくださいました。
木槌で叩くと傷がつきにくく、金属も硬くならないそうです。
先生に柄の部分を真っすぐにしていただいたら、次は名前の刻印をします。
はじめに、アルミの板に刻印の練習をしました。
アルファベットが1文字ずつ書かれた金型をしっかり持って、重めのハンマーで2回ドン、ドンと叩きます。
叩くときに手を叩かないように、金型がずれてしまわないようにするのが、上手に刻印するコツです。
たくさん練習して自信がついたら、今度はスプーンの柄に本番の刻印をします。
真鍮はアルミより硬いので、しっかり力を込めて刻印しましょう。
一度打った刻印は消すことが出来ないので、皆さん慎重に、力強くドンドンと刻印をしました。
刻印が終わったら、柄の部分を裏側から叩いて形を整えながら硬くしていきます。
このとき使うのは、真鍮のハンマーです。
加工するものと同じ硬さの金属のハンマーを使うと、傷がつきにくく、壊れにくいそうです。
加工する金属や、加工の種類ごとに色々なハンマーを使い分けるので、先生のところには数えきれないほどのハンマーがあるそうです。
柄の部分を叩いていると反り返ってきました。金属には叩くと伸びる性質もあるので、この反り返りはしっかりと叩けている証拠です。
反り返ってきたところは先生が木槌で叩いて形を直してくださいました。
皆さん上手に叩いて形を作ることが出来ました。
スプーンの形が出来上がったら、やすり掛けをします。
スプーンは食事の時に使うので、手や口に触れます。
切り出したままの真鍮の端は、切り口が角ばっていたり、少しとげとげしたりしているので、指で触りながら丁寧にやすり掛けをします。
先生のスプーンを触って、自分のと比べながら、滑らかになるようにやすりを掛けました。
やすり掛けが終わったら、金属磨き液を使って、汚れを取りながらピカピカに磨きます。
金属磨き液には細かい研磨剤が入っているので、磨けば磨くほどどんどんピカピカになっていきます。
ピカピカに磨いたら完成です!
スプーンに周りのものが写りこんでますね。
金属には「時効硬化」という性質もあり、時間が経てば経つほど硬くなっていきます。
時間が経てば経つほど金属の表面に酸化の膜が出来て味わい深い色合いになっていきます。
丁寧にお手入れをして、何年も何年も使ってくださいね!