プログラムレポート
こどもONLYバザールを終えて:バザール日記(2019年2月10日11日本番・17日振り返り)
公開日:2019年02月24日
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こどもバザール
2月10日と11日に、こども店長が主体となって取り組んできた“こどもONLYバザール”を無事に終えることができました。遊びに来てくださった皆様、そしてあたたかく見守ってくださった保護者様のおかげです。開催にあたりご協力くださった皆様に、心から感謝申し上げます。
《ONLYバザール当日のハローワークの様子》
昨年度の“こどもONLYバザール”の報告では、“こどもONLYバザール”開催に至るまでの経緯を書かせていただきました。お目通しいただけましたら幸いです。
★こどもONLYバザール大成功!:バザール日記(2018年2月17日18日開催)
今年度の報告は、これからの“こどもバザール”につながる報告にしたいと思います。
《ONLYバザール当日のMJVショップの様子》
※昨年度のこどもONLYバザールで実行委員を担当した現中1のMJVたち
0.今年度の“こどもONLYバザールプロジェクト”発動まで
2018年4月、こども店長からの「ONLYバザールをやりたい!」という要望に応える形で、“こどもONLYバザールプロジェクト(以下ONLYバザール)”を発動しました。
しかし、昨年度と同じやり方をしていては意味がありません。
“毎年イベントとして盛り上がればいい”という取り組みではありません。
なぜなら、私たちが目指しているのは「いつものこどもバザールを“ONLYバザール”にする」ことですから。
そのために、今年度の“こどもONLYバザールプロジェクト”をどう進めていけばいいのかを考えました。
その結果、店長たちに課したものは次の4つです。
一つ、ONLYバザール本番までの準備はONLYに参加する店長だけで行うこと
→今回は6月から活動をスタートしましたが、昨年度は実行委員が活動を始めたのは11月。そこから2月の本番を目指しました。実行委員だけで進める部分が多くなり、ONLYに参加する店長を交えての活動はたったの2回。そのため、大人スタッフが先回りして手を貸してしまうことが多くありました。今回は準備段階から大人を排除した活動を目指しました。
《こども店長だけの事前準備活動の様子》
一つ、ONLYバザール本番の前日準備も店長だけで行うこと
→昨年度は土日に本番を開催したため、前日準備は金曜日に大人スタッフが全て行いました。お膳立てされた状態で店長たちは当日を迎えたわけです。前日準備こそ、当人がやるべきことです。そのため、今回は三連休を利用し、土曜日に前日準備、日曜と月曜祝日に本番というスケジュールにしました。
《前日準備をするこども店長の様子》
一つ、収支計算をしてONLYバザールを“黒字”運営にすること
→4月に開催したこども会議で、会計について研修をしました。そこで
【入ってくるお金】―【出ていくお金】=黒字 にならないと、どんなに「良いお店」であっても潰れてしまうこと学びました。
現状のこどもバザールのお店に当てはめて考えると、お客さんの要望に応えて無料でサービスを提供したり、商品を売りたいために割引ばかりしたりしては、お店としては成り立たないということです。
これを踏まえ、ONLYバザール全体で“黒字”の運営をして「ONLYバザール成功!」となる、という設定にしました。
《当日の社員数のカウントメモ》
一つ、どのお店・イベントも、最低1つは新しい企画を実施すること
→昨年度はバザールの既存のお店をONLYバザールで運営するとき、ほぼ、そのままの形態で運営をしました。今回は、今の運営を見直す意味も含め“新しい何か”を必ずすることを条件としました。
《ゲームやのONLYバザール限定ガラポン》
以上の4つの課題をこなすことを前提に、今年度のONLYバザールが発動しました。
1.本番までのおさらい ~実行委員とONLY店長の準備活動~
本番までの8か月間の活動の様子を簡単におさらいします。
第1回 企画をしぼる(6月23日開催)
実行委員19名が宿題で提出したONLYバザールの企画書を確認し、いいと思った企画に投票。27企画中、5企画にしぼる。
【この時点で残った企画】
①壁画 ②動画上映 ③ソースせんべいや ④スタンプラリー ⑤ちびっこや
第2回 実行委員長を決める(7月22日開催)
2名の実行委員長を決め、連絡系統の確認をする。実行委員長に立候補したメンバーが立ち合い演説をし、それを聞いた上で実行委員が投票。連絡系統や、こども店長だけで準備をすることについての確認。
第3回・第4回 MJVからアドバイスをもらって企画をつめる(8月5日・26日開催)
現中学1年の前年度ONLYバザール実行委員経験者(MJV)から企画のアドバイスをもらう。運営可能な状態に修正をし、実行委員長のOKが出たら採用。
第5回 ドラフト会議(9月9日開催)
この回から、実行委員とONLYバザールに参加する店長(以下ONLY店長)が参加。
各担当の実行委員(リーダー)が、必要なこども店長を指名してメンバーを決定するドラフト会議を開催。メンバー確定後はチームで企画の確定に向けて話し合い。
【最終残った企画】 ①壁画 ②動画上映 の2つのみ
第6回 準備計画・予算計画を完成させる(10月6日開催)
準備と当日に必要な、材料、道具、設備、人材(大人スタッフの雇用)を決定。当日は自分たち店長のお給料と社員さんのお給料も含めて考える。全部コミコミで、
【入ってくるお金(売上)】ー【出ていくお金(材料費、人件費など)】=黒字 になるように各担当で予算計画書を作成。
売上のない市役所やハローワーク、実行委員長の社員さんや店長のお給料なども全体の収支でまかなうことを考え、お店単位ではなくONLYバザール全体で黒字にならないとONLYは失敗。
第7~16回 各担当ごとの準備活動(10月27日~2月3日)
事前申請のあった材料等を一括で各担当に配布。追加の材料があった場合は発注書に必要事項を記入し、実行委員長の許可を得て提出し、次回までに大人スタッフが準備をするが料金は2倍になる。大人スタッフは雇用されない限り一切介入せず、リーダーを中心に計画的に準備を進める。もろもろの決定権は実行委員長がもつため、追加や変更、修正が必要なときは、必ず実行委員長に相談して許可を得てから先に進む。
第12・15回 実行委員のみで現状確認(1月20日・2月3日開催)
赤字のままでストップしていた予算計画を黒字計画にするべく、実行委員だけで再度検討。社員の受け入れ数を減らす、店長の給料をゼロにする、注文した材料を返品するなどかなり強行に出て、なんとか黒字に。
おまけ:第13回 MJVが急遽ONLYバザールで出店することに!準備活動に参加(1月20日開催)
昨年度ONLYバザールで実行委員だった現中1メンバーの有志がお店をやりたい!ということで企画書をもって参加。時間のない中、オリジナル商品を制作。
16回の準備期間を経て、2月9日に前日準備を迎えました。→前日準備の記事はこちら
前日準備は大人スタッフに頼ってくるだろうと思っていました。頼ってきても突き放す覚悟を決めていましたが、そんなことは杞憂で終わり、店長は2時間集中してサクサク準備をこなしていました。
実行委員は8カ月間、ONLY店長は6カ月間、こどもだけで活動を続けてきたせいか、自分たちで考えて取り組むことがあたりまえになっていたのかもしれません。
3.ONLYバザール当日の様子(2月10日・11日開催)
※動画をご覧になりたい方はこちら
★2月11日のインタビュー動画
ONLYバザール初日の2月10日に、静岡市教育委員会事務局様が視察に来てくださいました。ここで頂戴した感想を紹介させていただきます。
【静岡市教育委員会理事 甲猛志様より】
参加している子供の自立性を育てる取組が目を引きました。自分達で考え、計画を実施し、その結果を受け止めるというアクティブラーニングの先駆的な取組だと感じています。子供の伸びしろを信じているスタッフにも敬意を感じています。
【静岡市教育委員会教育総務課長補佐 宮城島清也様より】
こどもONLYバザールは『ま・あ・る』の集大成ですね。開館から6年が経過し、①こどもたちが自ら自分たちだけでやりたいと提案したこと、②スタッフがそれを受け止めたこと、③うまくいった部分・いかない部分も引っくるめて妥協せずに実行したこと、これらすべて素晴らしいと思いました。こどもたちの自信に満ちた表情もよかったです。
こどもたちの活動の様子を見た上で、こどもバザール、そしてONLYバザールの核心をつく感想をいただくことができ、試行錯誤しながら続けてきてよかったと思うことができました。今後の励みにさせていただきます。
キャリア教育、アクティブラーニング、社会人基礎力、といったものを意識していたかどうかを問われれば、もちろん意識をしながら、こども店長の活動を含めたこどもバザールの運営に取り組んできました。
ただ、意識するにあたり気を付けていたことがあります。それは、意識をしすぎて学校教育に傾倒しすぎないことです。バランスが難しいところです。
『ま・あ・る』は学校ではありません。大人スタッフは先生ではありません。出来る限り、こどもと対等な立場として、一緒に活動をしています。学校教育の枠に当てはめてしまっては『ま・あ・る』で“こどもバザール”を開催する意味がなくなってしまいます。
家庭でも、学校でもできないことを、こどもたちが自分らしく体験できる場所でありたい、という思いで6年間歩んできました。
少し脱線しましたが、当日の様子を見ていきましょう。
■はじめの会
実行委員のみで当日の注意点を確認します。その後各お店で他ONLY店長へ伝えます。インカムの使い方、連絡方法の確認もします。
※水色のベストが実行委員長、ピンクのベストが実行委員(各チームリーダー)、オレンジのベストはMJV
※インカム(内線通話機器)をつけて連絡を取り合います
①市役所
ONLY限定のシールを配布したり、ONLY参加者へアンケートを実施しました。また、担当のリーダーが率先して、はじめての利用者さん向けのONLYバザール用の説明文を作成し、準備を整えていました。
★市役所が実施していたアンケートの感想を少し紹介します
【大人の方の感想】
・こどもが楽しみにしていました。実際来てみても楽しかったようです。
・一生懸命ですごいと思います。見習いたいです。元気になりました。
・子どもの目がキラキラ輝いていてすてきでした。
【こどもの感想】
・もうすこしあたらしいルールやお店があると思っていたけど意外とすくなくてがっかりです。
・ONLYバザールはげんていしょう品やいどうはん売などいろいろやっているのでいいと思います。
・たのしかった。いつもとちがったのでドキドキした。
②ハローワーク
並んでいる社員さんを飽きさせないように、ONLY限定のクイズを実施しました。いつも来ている社員さんへは今日がONLYであることを説明し、はじめての社員さんへは個別に対応をすることを心掛けていました。
おしごとを紹介する時間も忘れたり間違えたりしないように店長同士で声をかけあって。
社員さんの列が長くなったときは、実行委員長とかけあって、それぞれのお店に社員さんの受け入れを増やしてもらいました。大人スタッフさながらの対応です!
③銀行
おこづかいをもらうちびっこさん(未就学児さん)と、800まある以上入金した社員さんには、ONLY限定のメダルをプレゼントしました。
2日目は銀行の10まあるが不足するピンチがありましたが、各リーダーと連携し各お店から10まあるを回収して解決しました。
④プラバンや
いつもはお店にある台紙をもとに商品づくりをしますが、ONLY限定で台紙のデザインも社員さんにしてもらいました。社員さんの仕事の見直しをして取り組んだのは、プラバンやさんとデザインのおしごとだけでした。いい視点ですね。
しかも、混雑時、社員さんの1回の受け入れ人数を5人に増やすという非常に難しいことを、涼しい顔で淡々とこなしていました。さすが、ベテラン。
⑤食品サンプルや
ONLY限定で、クイズイベントと割引券のあたるあみだくじのイベントを開催しました。お店で時間を決めてイベント開催をしたのはここだけ。2日目は店長は2人だけだったにも関わらず、応援をたのむこともなく2人で売上も伸ばしてやりきりました。
⑥デコめいしや
ONLY特別名刺を2種類販売しました。また、メッセージカードや市民証のラミネートサービスも復活!
売上を向上させるために経費を抑えて手書きでつくった割引券付チラシを、お客さんへ丁寧に手渡している姿が印象的でした。名刺の注文もたくさん入っていましたが、役割分担をして落ち着いて対応できていました。
⑦ゲームや
ONLY限定でゲームやを拡張して開店しました。“ガラポン”と“紙おとし”のONLY限定のゲームにお客さんが集中しましたが、社員さんと協力しスムーズなお客さんの受け入れができていました。心配していたゲームの大きな故障もなく、少し調子が悪くても自分たちで考えて臨機応変に対応していました。
⑧ビューティーショップ
唯一、当日の売上が出ていくお金を上回り、黒字になったお店です。
ビューティーショップは12月に閉店したため、ONLYバザールの日に復活することを楽しみにしていた社員さんもいたようです。
そして、ONLY限定のアクアビーズとネイルを販売。値段は以前のビューティーショップでつけられていた値段の2倍ほどでしたが、それでも買っていくお客さんがいました。
⑨ざっかや
ざっかやさんは、社員さんの1回の受け入れ人数を8人や10人とかなり増やしてもらうことが多く、開館当初から大人スタッフが必ず入って運営をしてきました。その歴史が色濃く出たかなと感じています。
販売していた商品は、いつも販売している大人スタッフが考案して社員さんと作っているものを、店長たちだけで試行錯誤しながら準備したものでした。社員さんの受け入れはいつもの4人受け入れからスタートし、混雑時は8人受け入れまで増やしました。
自分たちで社員さんのおしごと分の材料の準備もしていたことを考えると、通常のこどもバザールも大人スタッフはいなくてもいいのかなと思いました。手を出してしまうからできないだけで、手を出さなければできるということがわかりました。
⑩デザインのおしごと
いつもは大人スタッフが担当しているデザインのおしごとですが、こども店長がしっかり教えていました。
テーマはバレンタインカード。見本のデザインもかわいいですね。
ONLY限定で1日に2回時間を決めて、社員さんが作成したデザインから選りすぐりのカードを印刷して、そのまま販売しました。複雑な印刷作業もこなして、その日のうちに販売したことは大きい自信になったと思います。
また、パソコンでのデザインが終わった人は、かつてあったお店“ゆうびん局”で使用していたハンコを使ってオリジナルポストカードづくりをすることができました。ハンコで作ったポストカードも販売していました。
⑪壁画
ONLYバザールの記念に残るものを参加者全員でつくりたい、という思いで企画を練ってきた壁画。会場は4Fなんでもホールでした。
両手にスタンプを押して、スタンプがつかなくなるまで押してもらうスタイルでした。1人1回50まある。10回ごとに無料になる特典もありました。
残念ながら1日目はお客さんが少なく、2日目は挽回するために残っている材料で工夫をしました。
1つは、“まあるん”の形に切った折紙に、のこぎり型の折紙とハートや花など穴あけパンチでつくった飾りをつけて、まあるんの顔の部分に自分の手形を押して持ち帰ることができるワークショップを1回70まあるで開催しました。手形と合わせて100まあるというセット販売も途中から始めていました。
2つ目は、時間限定で対象を決めた割引をしていました。例えば、13時~14時は女の子だけ割引がある、というような具合です。
準備も当日の対応も丁寧だったため、想像以上にきれいな作品に仕上がりました。
⑫動画上映
4Fの奥のお部屋、タウンベースが会場の動画上映。
事前に制作したこども店長やこどもバザールのルールを伝える動画の上映と、各お店と動画上映会場を結ぶ“中継”をしていました。こちらもなかなかお客さんが入らず苦戦していました。
2日目は前売券を25枚販売し、放送や割引などで集客を図りました。
⑬MJVショップ ~1年A組 今日から皆さんはお客さんです~
いつものミニロボやさんにお店を準備しました。商品を並べるために必要なものを自分たちで用意し、中学生らしいお客さんが見やすいディスプレイになっていました。
自分たちで用意した商品がお昼過ぎにはほぼ完売状態になってしまったため、いつものこどもバザールで販売している商品の販売に切り替えました。
売り方は強引ですがかなり上手でした。さすがです。視察の方からも「店長にアドバイスしてあげればいいのに~」と言われていました。
ただ、こちらは店長たちと条件を同じにするため、後から仕入れ値を徴収することに。売上はものすごーくよかったですが、その分叩き売りや無料配布などをした結果、仕入れ値の方が上回ってしまいました。
⑭実行委員長
3Fと4Fにどちらかがいるようにしていました。1人で判断できないときは2人でおちあって相談。
放送の対応やらくがきやの管理だけではなく、各お店の様子を気にして動いていました。気にかけなければいけないこと、やらなくてはいけないことが多くて、神経をすり減らす2日間だったと思います。
それでも、その都度きちんとメモをとり、みんなに伝える努力もしっかりできていて、時間の管理もバッチリでした。大人スタッフから厳しいことを言う場面もありましたが、それをしっかり受け止めて、自分たちで考えて行動していました。
■おわりの会
おわりの会の前に、各お店で売上計算や片付けなどをしながら簡単な振り返りをし、リーダーが話をまとめます。その後、全員参加のおわりの会を行いました。
実行委員長がその日にあったことを報告した後、各リーダーがお店であったことを報告しました。初日はよくなかった点をどう改善していくのかがポイントに。
初日は全体で振り返りをした後に、実行委員だけで翌日に向けた話をしました。インカムでの連絡方法について議論になりました。小さな連絡が重なって、大事な連絡をキャッチできず対応が遅れたりできなかったりしたことがあったからです。連絡の重要性を考えて、どの方法で、どういった伝え方をしたらいいのか考えました。
みんなが疲れ果てていたので、見ている側も辛くなってしまいました。それでも最後までやりきったのは、“自分たちでやる!自分たちのONLYバザール!”という意識の強さから出てくるパワーでしょうか。
2日目は、店長全員が「初日にできなかったことが改善できた」と答えました。初日にうまくいかなかったことについてどうしたらうまくいくか各々よく考えて工夫して2日目に臨めたのだと思います。
大きな事故や怪我がなく、お客様も笑顔で帰ってくださっていたので花丸です◎ 本当によくがんばりました!!
4.ONLYバザール振り返り(2月17日開催)
「楽しかったね~、よかったね~」で終われないのがONLYバザールです。
2月17日の午前中は、実行委員だけで振り返りをしました。
みんなが忘れたい、なかったことにしたい、お金関係のまとめを報告します。
(当初は店長のお給料も社員さんのお給料も含めて収支を考えていましたが、実際には社員さんのお給料まで含めて考えるのはかなり厳しいな・・・というところがあり、社員さんのお給料は含まずに考えることにしました。)
結果は
【入ったお金 251570まある】―【出ていったお金 388830まある】= -137260まある
そして、ここに26期と27期のONLY前までのおかたづけボーナスを補填します。
(おかたづけボーナスとは、通常のこどもバザールで閉店後に店長がお店の片付けをしたときに、その片付け状態に応じて支払われるボーナスのこと。もともとはお店に支払う予定でしたが、ONLYの運営が大変!ということで、こども会議で店長たちの承認を得てONLYの運営費用にまわすことになっていました。)
最終的なONLYの収支結果は、
―137260まある + 補填金 63900まある = ―73360まある
マイナスです。赤字です。つまり、失敗!!!!!
あんなにがんばったのに、うまくいったとおもったのに、
失敗!!!!!
ショックですが現実と向き合わなければいけません。
どうしたらこんなに赤字が膨らまずにすんだのか、どうしたら黒字にできたのかを考えて発表しました。
何かを削るか、何かを増やすかの話しになりましたが、市役所やハローワークなど公共機関でも税金などのお金の入る仕組みをつくるといった案がこれから出てくるようになるといいかな~と思っています。
その後、この赤字をどう清算するか話し合いました。
実は、ONLYバザール当日、お給料をもらっている店長ともらっていない店長がいて、金額もバラバラだったことがあり、もらったお給料を全部戻して、プラスになったお金をONLY店長に分配する方法にしました。
―73360まある+当日店長が受け取った給料 183800まある = 110440まある
(店長全員がお給料をもらわずにボランティア活動にしていたら、黒字だったんですね。本来ダメなことなので、触れずに・・・)
110440まある ÷ ONLY店長55名 = 2008まある(端数切捨て)
1人あたり2日間で2000まあるのお給料となりました。
通常なら2日間で6600まあるなので、かなり少ないですね。
実行委員長が「店長のお給料までまわらなかったので、これでいきましょう」と言っているのを聞いて、最初にお金の話しをしたときよりも理解が進んでいると感じました。
最後に「6月にもどってもう一度ONLYバザールをするならどうしたいか?」というテーマで作文を書いてもらいました。実現可能かどうか考えず、自由にやりたいことを書いてOK~と伝えましたが、みんな真面目です。本当に真面目で、反省点を改善してもう一度やりたい!という、ポジティブな意見が殆どでした。もちろん「もうONLYバザールはやりたくない!」「実行委員ではやりたくない!」という意見は一つもありませんでした。それよりも、今回実行委員長として奮闘した2人に対して感謝や敬意の気持ちを示したうえで、「自分が実行委員長をやってみたかった」という意見が出てきていたことに、いい意味で驚きました。いつものこどもバザールでも店長の中でリーダーが必要になっているタイミングだと確信しました。
午後は、こども会議で振り返りをしました。
実行委員長から収支報告をし、お給料の分配の話をしました。ONLY店長に向けてだけでなく、ONLYバザールに参加していない店長に対して、おかたづけボーナスをつかわせてもらったこと、参加しなくても協力してくれたことに対しお礼を述べていました。こども店長全体のことを考えられているから言える言葉です。
お金関係について、ONLY店長たちから承認を得ることができたので、口座でお金の処理をすることになりました。
そして、実行委員長から「全体としては赤字で失敗になってしまったけれど、大人スタッフのフォローや大切なものを放置したりして出た罰金は12000まあるで、昨年度は140000まあるぐらいだったので、今年度は罰金が少なくて、みんなで協力できたからだと思っています。ありがとうございました。」という説明もあり、いい終わり方になりました。
罰金だけでみたら、昨年度の10分の1ですからね。こどもだけで活動してきた成果がしっかり出ていました。
最後に、ONLYバザールのこども店長が書いた振り返りシートの内容を少し紹介します。
Q.いつものこどもバザールをONLYバザールのように運営するためにはどうしたらいいと思いますか?
・げんていやみんなが好きそうなことをしたりサービスをする事と、店長さんどうしで仲良くなる事。
・“あたりまえ”に大人スタッフがやっているコトを、少しずつ自分たちがやっていく。
・いつも大人がやっていることもきがついて、自分でできるなら進んでやる。
・まずちゃんと店長さんがまあるに来て全部のお店を開けることが大切だと思います。
・大人スタッフにいわれるまえに自分からきずけば大人スタッフの力をかりずにこどもバザールがひらけると思う
・普段からもう少し責任を持ったらいいと思います。
・大人スタッフまかせにしないで店長同士で何でも解決し、どうしたらスムーズに仕事ができるかを考えながら仕事をしたらいいと思う。
Q.ONLYバザールをやって、自分が変わったと思うことがあれば教えてください。
・いつもの店長活動で変わっているので、とくにありません。
・自分たちでもできるんだと思ったこと!
・大人やはじめてさん、社員さんにも積極的になれたこと!
・すぐに助けを求めないで自分で解決さくを考えられるようになった。
・会議をたくさんやったので、自分の意見を発表するときにまとめてはっきりマイクで言えるようになった。みんなが楽しくできるように考えることができるようになった。
・自分から動けるようになった。
・お店の店長さんたちと協力して準備などを進んでやるようになった。
・お金がまわるためのことを考えることができた。
5.これからの“こどもバザール”について
6年間こどもバザールを続けてきて、こども店長の意識が個人からお店、そしてお店からこどもバザール全体の運営へと変化しつつあります。また、開館当初よりも、保護者様のこどもバザールに対する理解が深まっていると感じています。
まさに今、バザールが新しいことにチャレンジできるタイミング!
現状に甘えず変化したい。
取り組みたいと考えていることは次の3つです。
①こども店長全体のリーダーを決める
ONLYバザールの実行委員長のような全体のリーダーがいれば、そのリーダーに決裁権をゆだねることができます。こどもだけで企画を練って、決定して、実行して、うまくいっているか、いっていないかを考えて取り組んでいくようになるといいなと思っています。
②会計を意識して運営する
今までは、社員さんをたくさん受け入れて、お客さんに喜んでもらえる運営ができていれば良いお店!でしたが、そこはできるようになっているので、もう一歩踏み込んでいきたいところです。
そこで、ONLYバザールでやったように、会計を意識した運営にしていきたいと考えています。いきなりこどもバザール全体を考えるのは難しいので、まずはお店単位で黒字運営を目指して考えてみようかなというところです。入ってくるお金、出ていくお金を考えると、値段の付け方やサービスの提供の仕方も見直すことになります。
③大人スタッフの関わりを減らす
大人スタッフがいなければできることがONLYバザールで証明されたので、大人スタッフの関わりを少しずつ減らしていきたいです。こども店長の負担が大きくなりすぎないように気を付けながら進めます。バランスが難しい!
以上です。
うまくいくかどうかはわかりません。
毎日がONLYバザールになる日を目指して、こども店長の意思を確認しながら少しずつ進めていきます。
ご利用者様には、ご迷惑をおかけすることもあると思いが、あたたかく見守っていただけましたら幸いです。
6.さいごに
こども店長自身の店長活動に対して感じていることの感想と、こども店長の保護者様からこども店長の活動向上のためにいただいている感想を一部紹介させていただきます。
【こども店長が感じる“店長活動をしていて自分が変わったと思うこと”】
・学級委員になることができた。今までは手を上げられなかったのに、上げられるようになった。
・相手のことを考えられるようになった。知らない人にも声をかけられるようになった。人とのつながりが増えた。
・色々なことに「ちょう戦してみようかな?」という気持ちに前はなれなかったけど、そう思えるときが出てきた。
・じゅぎょうに間に合うようになったり、たいどがしっかりした。
・積極的に色々なことを挑戦するようになり、学校で友達から変わったね。と言われた。
・自分から積極的に取り組むようになった。友達付合が良くなり、友達とせっしやすくなった。物事をまとめられるようになった。自分で最初に考えてから相談したりするようになった。
【こども店長保護者様の感想】
・仲のよい友だちにも『ま・あ・る』の良さを広めたり、今いちばん楽しいことは『ま・あ・る』での活動と話しています。自分のやりがい居場所となっているようで自信につながっていると思います。3年間“店長”をやっています。スタッフの方にもとてもよくしていただき、『ま・あ・る』での活動が小学校時代のよい思いでになりました。これから中学・高校、また社会人になったおき、『ま・あ・る』での活動が役立つときが必ず来ると思います。これからも長く『ま・あ・る』が続いていってほしいです。
・『ま・あ・る』での活動の報告など親子での会話が増えました。今回、責任のある活動をまかせていただいたので、責任感がさらに強くなったと思います。
・活動を通して、人の様子を観察する力が伸びたなぁと思います。学校のクラス担任の先生から、「どんなお友達とも仲良く出来る様子はすごいことです」と言われたことがあります。店長活動での経験が役立っているのかなぁと感じました。
・『ま・あ・る』に行くために、宿題や家庭学習を出かける時間までにがんばってやるようになりました。自主性も身につき、いろいろな学年の子や大人の方とも話をする機会もできたり楽しんで学べる場所だと思います。
・多少は自覚というか責任感があるようになったかな?お店によって仕事の内容がちがうので、色々なお店に入ることにより、自分の得意分野がわかり、伸ばし、活かす事ができるようになるのかなぁと思います。
・積極的になった。行動をおこすときに自分でいろいろ考えるようになった。いつも大変お世話になり、本当に感謝しております。ありがとうございます。子供がいつも楽しそうに活動しているのを見て、いつまでも『ま・あ・る』が続いてくれたらと思います。県外の友人に『ま・あ・る』のことを話すと皆からとてもうらやましがられます。
・責任感が出てきて、自分の自信にもつながったようです。学校でも色々とリーダーに立候補するようになったりと、内気だった性格がさまざまな学年、歳の子と接しいく中で活発な子にかわったと思います。子どもが自分達で考えるという自発心も身につくと思います。とても貴重な体験ができる場所だと思います。
・『ま・あ・る』でお仕事できる日は、朝からイキイキとしています!学校やならいごと以外のお友達や家庭以外での「居場所」ができてうれしく思っています。
以上です。
こども店長の活動は、学校の授業でも、塾や習い事でもありません。やらなければいけないことではありませんし、やって「この技術や能力が絶対身につく!」というものでもありません。それなのに活動を継続してくれるのはどうしてか。
こども店長に聞いたところ、一番多い意見は
「楽しいから」
そして
「『ま・あ・る』でしか出会えない、違う学年、違う学校の子と友だちになれるから。」
学校とは違う、ここだけの友だちが増えていくことが、こどもたちにとっては何より重要なこと。“友だち”の存在は影響力がありますね。
そして、おそらく、大人にはわからない、こどもならではのコミュニケーションだったり、こどもならではの価値観だったりが、こどもバザールの中にはたくさんあるのだと思っています。
これからも、こどもたちが安心して自分らしく活動できる場所になるよう励んでまいります。引き続き、ご協力よろしくお願いいたします。
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2019年2月17日第52回こども会議2019年2月17日第52回こども会議